マンション管理士の独り言・・・1352

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「議決権行使書」

年末の総会で面白い議決権行使書を見ました。

議決権行使書とは、予め配られた議案書を見て、第1号議案賛成、第2号議案反対など自分の意思を示すことのできる書面のことです。

議案書に出席表や委任状と一緒に一枚の紙でまとめられて添付されています。

総会当日、都合により出席できないが大切な一票なので無駄にしたくない、かといって他人へ委任したくない、という場合に議決権行使書によって賛成か反対かを意思表示します。

他人へ委任するよりも本人の意思が示されていると捉えられており、委任状と議決権行使書とが重複して提出があった場合は議決権行使書が優先されます。。

“書面により議決権を行使できる”とする場合には、読んだだけでその内容が理解できる議案としなければなりません。

読めば賛成か反対かを判断できるものにしなければならないということです。

標準管理規約でも第46条の4で“書面により議決権を行使できる”と定められており、市内のほとんどのマンションでも同様に認められています。

一方で、書面による議決権行使を認めると実出席の数が減少するという傾向も見られます。ただでさえ、総会参加者が減少しているのに議決権行使書を採用すれば、参加者の減少に一層拍車をかけることにつながりません。

実際に日本エスエムさんではつい最近まで議決権行使書を採用していませんでした。

しかしコロナ禍もあり、今では多くの管理組合で書面による議決権行使を認め採用しています。

総会での議案のほとんどは普通決議です。その採決方法は、総会出席者の過半数で承認となります。

そのマンションの議決権総数の過半数でなく、総会出席者の過半数です。

参加者カウントの方法は、実出席者+委任状提出者+書面による議決権行使者の合計です。総会を有効に開催させるための定足数確保の観点からも議決権行使書の添付はどの管理組合でも必須となっています。

年末の総会では、出席予定者にも予め議決権行使書の提出を求めていました。出席表と議決権行使書の2つを提出するのです。

予定通り出席した組合員の議決権行使書は、採用されず廃棄されますが、仮に欠席となった場合は、自動的に議決権行使書で出席したことになるってことです。

出席表を出していながら、総会当日出席しないという組合員は必ず数名はいます。定足数を確保するために“取りこぼし”をなくそうとする手法です。

なるほどな、と感心しましたが、一つ弊害があるようです。

出席表を提出している組合員の当日の欠席がかなりの数に上るのです。

“議決権行使書を出しているから、出席扱いになる”という安心感・義務達成感があるからなのか出席表のみの提出に比べて当日の欠席が多い傾向にあります。

いろいろと考えさせられる議決権行使書です。