マンション管理士の独り言・・・1355

マンション管理士の独り言・・・1355

「残戸数・・・その2」

5物件で販売センター長を勤めていましたが、どの物件でも正確な残戸数はわかりませんでした。

最後の1戸の引き渡しが完了して初めて、「完売したんだ」って感じでした。

毎朝、営業マンにLA(リビングアドバイザー)さんを含めてミーティングを行います。

昨日の来場者数や再来数、本日の来場予定、営業マンの行動予定さらに営業マンが抱えてる契約見込み客の進捗状況を確認していました。

そこでの数字を踏まえて毎週支店会議で先週一週間の来場状況や契約申し込み実績、今週の予定などを発表します。

もう時効でしょうから正直に言うと、この発表に少し色をつけることがありました。

何週間も続けて申し込みもなければ契約もない、となれば格好付かないし、支店長や上席から“何やってんだ!”ってお叱りの言葉が浴びせられます。

同じ事が毎朝のミーティングでも起こっています。

先月の成績の悪い営業マンは、2月続けて“ボーズ”では格好付きません。見込み客を捏造します。申し込みまで持っていけたけれど、その方の信用状況でローン事前審査で落ちた、ならば、“それは仕方ないな”ってなります。

捏造とまではいかなくても、実際より“見込みが濃い”という発表をしたくなるのが人情です。

また、支店でも本社への報告には少し色を付けていたようです。

皆がそれぞれの立場で少しずつ色を付けると本社へはかなり膨らんだ数字になっていることもしばしばでした。

現在では、ここまでいい加減な数字ではないでしょうが、残戸数にはいろんな思惑があるのです。

実際の数字に一番近い残戸数を知りうるのは販売センター長でしょうが、各営業マンの報告が本当の数字でないこともしばしばあるので、最後の一戸の引き渡しを終えて初めて完売を知ることになります。

対外的には、「お急ぎください。残5戸です」「A・C・Dタイプ完売御礼」なんてチラシを打ちますが、これも来場や契約を煽ることが目的です。

残5戸と言いながら10戸以上残っているなんてザラでした。

来場者に「アレッ。Aタイプまだ残ってるじゃん。チラシには完売ってあったのに」なんていわれても、「お客様の都合によりキャンセルになりました」「ローン事前審査が通りませんでした」などいくらでももっともらしい言い訳が出来ます。

マンション販売センターの「残戸数」や「あと〇戸」はそれほど信用できる数字じゃありません。来場促進・契約促進のためのキャッチーな言い回しです。