マンション管理士の独り言・・・1363

マンション管理士の独り言・・・1363

「この時期の内覧会同行」

毎年、2月終わりから3月初めにかけての時期には内覧会同行のご依頼があります。

何故かって言うと、3月末引き渡し物件がこの時期に集中するからです。

マンションが1戸売れて売主さんが経理上売り上げ計上できるのは、引き渡し時と決まっています。

通常マンションを購入する場合は、気に入った住戸があり購入を検討することになると、先ずは申し込みをします。

 “よし買おう!”と決断してもお目当ての住戸が売れてしまっていたのでは、シャレにもなりませんから、購入意思が決定するまでの1週間程度“他の人に売らないでね”と他の購入希望者からその住戸をガードする手続きです。

その後、重要事項説明を受けて晴れて売買契約を締結します。この際契約手付金として未完成物件ならば総額の5%以内、完成物件ならば10%以内のお金を支払うことになります。

契約手付金は、引き渡しまでの間買主の都合による解約の場合は、返金されず没収されます。反対に売主からの解約の場合は、手付金の倍返し、となります。

この契約を実行ならしめるために、民法で言う解約手付として、売主・買主双方を手付金で拘束しようとするものです。

この売買契約締結時であっても経理上の売り上げ計上とはなりません。

その後工事も進み、竣工し引き渡しとなります。引き渡し時に売買金額から契約手付金を引いた残金を売主へ支払うこととなります。

この引き渡し時になって、やっと売主さんの売り上げ計上となります。

多くの企業では、1単位年度は4月1日から始まり翌年の3月31日までです。

したがって今年度に売り上げ計上するには、3月31日までに引き渡すことが必要になってくるのです。

暦の上では4月1日と3月31日とでは、たったの一日に違いですが企業にとっては売り上げ計上できるのが今年度か、もしくは来年度か、というくらい大きな違いがあるのです。

上場企業や連結決算の対象企業ならば何としても今年度中の引き渡しを目指します。

3月31日が引き渡しリミットならば、その2週間前が確認会、更にその2週間前が内覧会というスケジュールとなります。

内覧会を実施して指摘を受けた不具合を2週間で手直しして確認会に臨み、仮に確認会で再指摘項目があったとしても引き渡しまでの2週間で手直しできる、ってスケジュールです。

充分な工事期間が確保されての3月末引き渡しならば何の問題もありませんが、“何としてでも3月末引き渡しに間に合わせなけりゃ”、って物件は十分な養生期間が確保できていない懸念があります。 その辺の見極めも大事です。内覧会でお披露目される専有部分は何とか仕上げているけど、廊下や階段室や外構がまだ仕上げ途中の物件は要注意かもです。