マンション管理士の独り言・・・1372
「マンション管理士の“遊び”」
“遊び”って言っても、スナックやキャバクラなどの夜遊びではありません。ギャンブルや旅行・趣味の話でもありません。
マンション管理士として、「規約違反だけどどの程度までなら許せるか」っていうクリアランスのことです。
よく例えて言うのが、スピード違反です。「時速40キロ制限の所を48キロで走っていても捕まらないだろ。厳密にいえば道路交通法で言うスピード違反だけど、このくらいは警察も多めに見てくれるよ」というものです。
つぶやき主などは、時速40キロのところを時速40キロで走る人とは友達になりたくないって思います。
マンション管理士だから、規約や法律については一言一句違わずに、キチンと守るよう管理組合に指導すべきというのが本来ある姿です。
しかし、管理の現場ではそうは行かず、“厳密にいえば規約に反しているけど、このくらいは許容の範囲だな”っていうことがしばしばあります。
この許容の範囲というのが各マンション管理士によって異なると思われます。
管理規約には、理想はそうだけど実務的には無理ってものが随所に見られます。
例えば専有部分のリフォーム工事についてです。皆さんがお持ちの管理規約にはリフォーム工事を行う場合の手続きが示されています。
先ず、リフォーム工事をしようとする組合員は、仕様書・工程表など工事に内容がわかるものを添付して理事長に工事申請します。それを受けた理事長は、理事会を開催してその工事を承認していいかどうかを判断します。理事会で、承認しても良いとなったら工事申請者へ、工事許可書を交付します。交付を受けた工事申請者は晴れて工事に着工できる、という流れになっています。随分面倒くさい手続きです。
これをその通りに実行している管理組合さんなんて見たことありません。
リフォーム工事の申請ある都度、理事会開催できますか?
申請者はいつ開催されるかわからない理事会をずっと待っていられますか?
理事会が年に数回しか開催されないない管理組合の場合、開催まで着工を待ちますか?
工事請負者は、いつ工事許可がわからないのにずっと手待ちしますか?
待っている間に材料費が値上がりしたら、誰がそれを負担しますか?
理事会でその工事を許可していいかどうかの判断できますか?
など実行不可能なことばかりです。
実務的にはリフォーム工事申請が理事長に提出されれば、つぶやき主に回してもらい、つぶやき主が、許可していいと思いますと告げて、理事長は工事承認するってパターンとなります。
これについて“理事会開催していないじゃないか。マンション管理士として規約違反のことをやっていいのか“と原理原則通りのことを言われると、返す言葉がありません。
一例としてリフォーム工事申請をあげましたが、管理の現場ではこのような事例はよく起こります。臨機応変に対応することが必要です。
しかし、マンション管理士だから一般の理事さんより順法精神を高く持つべきだ、というハードルとの狭間にいつも悩まされます。