マンション管理士の独り言・・・1378

マンション管理士の独り言・・・1378

「大本営発表・・・その2」

前回、新築マンションの残戸数についてつぶやいたら、マンション販売に携わっていた方から「そうでしたね。上乗せしてチラシに載せてましたね。」と、また管理会社さんからは「正確な引き渡し数が分からず困ってしまいます。」というお言葉をいただきました。

それに気を良くしてもう一回つぶやいちゃいます。

「誰でも1日200回は噓をつく」(クラウディア・マイヤー著)という本があります。

1日200回でなく10分の会話で2回という学者もいます。回数には諸説ありますが、共通しているのは私達全員が、毎日自分が思っている以上に嘘をついている、ってことです。

「私はそんなに嘘はつかない」って思った人は既に1回嘘をつきました。

嘘をついてはいけませんが、しかし嘘をつかないとスムーズに運ばないのも人生や社会です。思ったことをそのまま口に出したら人間関係なんてアッいう間に壊われちゃいます。

また社内でも変人、裏切り者のレッテルさえ貼られちゃいます。

出された食事に「不味い。食えたもんじゃない」って、来場者に「買わないくせに。もう2度と来るな!」なんて言えますか?

社会学者のマルク=ラインハルトは「嘘は社会生活を送るうえで極めて重要」と言っていますし、真理会社のロバートフェルトマンは、「嘘は1種の社会的能力」と評価までしているほどです。

犯罪につながったり、皆に迷惑を掛けるような大仰な嘘はいけませんが、社会生活を営む上での潤滑剤となる最低限の嘘はありですね。

そこで販売センターでのお話です。毎朝の営業マンミーティングです。先月も坊主だった営業マンに、販売センター長が、「今月の見込みは?」ってお尋ねです。

2月連続しても坊主ってわけには行きません。幸いにまだ確実ではないものの見込み客はいます。そこで「Aホット見込み客が1名あります。またB客ももう1名います」なんて希望的観測含めて発言します。もう一人の営業マンも同じような見込みを発表します。

販売センター長は、今月は上手くいけば4戸、悪くても2戸はいけるな」って思います。

そして販売センター長が集まっての本店会議です。くだんのセンター長へ部長から「今月の成約見込みは?」ってお尋ねです。

センター長は、ここのところの低空飛行が頭の隅にあります。そして「4戸は確実です。更なる上乗せも期待できます」なんて大判振る舞いの発言になります。

他の販売センター長からも“乗っけた”数字の発表が続きます。

月末になると調子のいいメッキ数字は剥がれて、実際の数字に唖然とする結果になってしまいます。

営業マンも本当の数字を言わないし、センター長も“乗せちゃう”し、さらに売れ行き好調と見せかける必要もあるという数字の集合体がホームページに残戸数として掲載されることになります。

数年前の話ですが大手ハウスメーカー営業マンが辞めた会社を相手取って訴訟を起こしました。その営業マンは成績が振るわず、上司からの追及から逃れるために架空の受注を作成し、しかも契約金まで支払っていました。会社から見れば何の問題もない受注です。

ところが本人の退職に伴い架空受注が露見しました。この契約金を変換しろって辞めた営業マンが提訴したものです。

どのような結論になったのかは知りませんが、醜い争いです。