マンション管理士の独り言・・・1381
「議決権行使」
4月5月と総会ラッシュです。
コロナ禍も一段落し、組合員の出席を呼びかける組合さんが増えてきました。
多くの議案が普通決議によって採決されます。
普通決議というのは、総会参加者の過半数の賛成で承認されます。議決権総数の過半数でないことに注意が必要です。また参加者とは、実出席者+委任状提出者+書面による議決権行使者の合計を指します。
管理規約の改正や共用部分の重大変更などの議案は特別決議となります。
4分の3という多数の賛成が必要です。特別決議の4分の3という数字は、上げても下げてもいけません。強行規定なので、この数字を変えることは出来ません。
そしてこの4分の3という数字は総会参加者が分母になるのではなくて、議決権総数と区分所有者数の4分の3を指します。
また、賛成が4分の3必要なのであって、反対者が4分の1以下を指しているのではありません。
稀に、反対者に挙手させ、その数が4分の1に満たないから、可決とする管理会社さんがありますが、これは誤りです。
反対者でないから賛成とは限りません。規約は賛成者を4分の3求めているのです。
普通決議の場合、総会参加者の議決権総数が分母になりますが、特別決議の場合は、議決権総数に加えて区分所有者数の4分の3が必要です。
敢えて区分所有者という要件を加えています。
その理由は1人で複数住戸所有しているマンションがあることを考えているからです。
仮に8戸のマンションで、Aが5戸所有していて、他の3戸は1人ずつ(B、C、D)が所有しているとすると、議決権総数は8、区分所有者数は4(ABCD)となります。
普通決議の場合は、Aさえ参加し賛成すればその議案は承認となります。Aひとりで議決権総数の半数以上を持っているからです。
反対に言えば、Aが賛成しない議案は承認とはなりませんし、Aが参加しないと総会は有効に開催ともなりません。
普通決議の場合、残念ながらAの思い通りにマンション管理を進めることが出来ちゃいます。
これに対し、特別決議の場合は、A1人が賛成しても承認とはなりません。BCD3人のうち2人が賛成しなければ承認とはなりません。Aの他1人ではダメです。
議決権総数だけを承認要件とすれば、Aの他もう1人が賛成すればAの5+もう1人の1=8分の6となり承認ですが、区分所有者数では4人中2人ですから4分の3には届きません。承認とはなりません。
その結果、Aは他の組合員と協調して管理組合活動を行わなければなりません。
区分所有法は、マンション自治が大口議決権保有者の思いのままにならないように、多くの組合員の意見が反映されるように“議決権総数”に加えて“区分所有者数”を敢えて加えているのです。