マンション管理士の独り言・・・1383

マンション管理士の独り言・・・1383

「まだら」

熊犬銀が主人公の“銀牙”に出てくる巨熊の「まだら」ではありません。

と言ってもこんなアニメ知らないですよね。

築30年のマンションで玄関ドアの取り換え工事を予定しています。

つぶやき主はその段取りを行っています。

玄関ドアを取替える方法には大きく3つあります。

1つは、玄関枠をコンクリート躯体から外して、新たな枠と玄関ドアを取り付ける方法です。枠や玄関ドアが新品になりますから、おニュー感があります。

しかしコンクリート躯体から枠を取り外すので、大きな音と振動、そして長期間の工事、何より費用が莫大にかかります。1戸当たり100万円は大きく超すことになります。

工事方法とすればあるにはあるけれど、実際にこの方法で玄関ドアを取り換える管理組合さんは皆無です。

2つ目は、カバー工法です。現在の枠の利用する工法です。枠の錆を落とした上で、既存枠の上に更に枠を取付けようとするものです。

既存の枠をコンクリート躯体から取り外す必要がないので、音も振動もほとんどありませんし、費用だって戸当り20万円程度です。

程度となるのは、金モールやハンドル、郵便受けなどの仕様で金額が異なってくるからです。

この工法の大きな弱点は、既存の枠の上に更に枠を設置することになるので、その分玄関ドアが狭くなるということです。

今あるところに玄関ドアが付く工法では、5cm程度狭くなります。

上から被せる枠を外側に張り出す工法でも2cm程度狭くなります。また、外側に張り出す工法だと、現在より4cm程度出っ張り“見かけがちょっと・・”ということになります。

費用は変わりませんが、玄関ドアの有効幅を出来るだけ確保するか、或いは見かけ優先で出っ張らないようにするかで頭を悩ませます。

ほとんど全ての管理組合で、このカバー工法が採用されます。

最後の1つは、既存の玄関ドアの上にフィルムを貼る工法です。

これが一番安価で済みますが、貼りものなので時間の経過とともに剥がれやすくなります。また、枠自体の錆が落とせないことになります。

この工法はまだ一般的ではありません。

そして玄関ドア取り換え工事に関し一番厄介なのは、各戸によって玄関ドアの劣化具合が異なることです。

特に妻側住戸は、中住戸に比べて風や太陽光の当たり具合が優しいのでそんなに劣化が進んでいません。

そんな住戸所有者が“有効幅が狭くなるし、まだそれほど傷んでいない。自分宅はまだ取り換えなくていい”って言われます。

この場合の扱いは管理組合によって異なりますが、多くの場合は、その方たちの了解を取り付けて全戸一斉実施となります。

今回の組合さんも10%程度のお宅で“取り換えなくていい”ってアンケートが寄せられています。この方たちの了解を得るのはつぶやき主の仕事です。

さらに、“ウチは玄関ドアの内側に網戸を設置している。この取り扱いはどうなるの?”って声も沢山寄せられています。

施工業者と1件1件確認に回らなければなりません。

玄関ドアの取り換え工事は結構な手間暇、エネルギーがかかります。