マンション管理士の独り言・・・1388
「サッシュ熱割れ」
築後20年を過ぎたころから、アチコチのお宅のサッシュガラスにヒビが入る現象が現れます。
「熱割れ」という現象です。特にワイヤー入りサッシュガラスに多く見られます。
「熱割れ」は、ガラスに1本の筋状のヒビ、もしくはそのヒビが途中で枝分かれしているのが特徴です。
ガラスに物が当たって割れた場合には、一番衝撃が激しかったところに穴があき、そこから放射線状にひび割れ筋が何本も出ていますので、違いは一目瞭然です。
「熱割れ」の原因は、
①太陽熱はガラス中央部に1番多く当たり高温になりやすいけれど、周辺部にはそれほど当たらない。さらに周辺部はサッシュ枠に固定されていて枠などに放熱できるので低温のまま。この温度差が「熱割れ」を引き起こす
②ワイヤー入りガラスの場合、太陽の熱で温められて内部のワイヤーが伸び、その伸び率にガラスが耐えれなくなり割れる
③エアコン室外機の熱風が窓ガラスに直接あたりガラスが温められ熱割れを引き起こす
④ワイヤー入りガラスに結露防止フィルムや断熱フィルム、遮熱フィルム、飛散防止フィルムなど「フィルム」を貼るとガラス内部に太陽の熱などがこもり熱割れしやすくなる
等があります。
要するに「熱割れ」は基本的には、ガラスの日の当たる高温部と周辺の低温部との温度差が著しい場合に生じる現象です。
「熱割れ」を物理的に完全に防ぐことは出来ないと言われています。
「熱割れ」ガラスの補修は、管理組合において実施しなければなりません。
サッシュガラスは、専用使用部分ではありますが、原則的に共用部分です。
不注意で物をぶつけてガラスを壊したのならば、その居住者の責任で補修してもらいますが、「熱割れ」の場合は、居住者の不注意でもなく、経年劣化やサッシュガラスの特性によるものです。
保険対象事故でもありませんから、管理組合において費用負担して補修を実施しなければなりません。
サッシュ業者に現地確認、採寸してもらって補修します。現地確認から補修まで1週間もあれば出来ますが、居住者に在宅してもらわなくちゃ、なので日程調整という作業があります。補修費用はサッシュガラス1枚当たり20,000円くらいってところでしょう。
一般的なサッシュは中桟で仕切られていてガラス2枚で構成されていますので、上下ともに取り換えとなれば40,000円くらいかかっちゃいます。
築20年を超えたころから補修や交換などで何かとお金がかかっちゃいます。
エレベーターや自動ドア、宅配ボックスなどメーカーでは交換部品の製造を25年くらいを目途に中止しちゃいます。
年度当初には考えてもいなかった補修が発生します。20年超のマンション管理組合では予算案作成時に予備費を多めに取っておかなければなりません。