マンション管理士の独り言・・・148

「沖縄 浦添市マンション廊下崩落事故」その後

昨年9月3日沖縄県浦添市のマンション(S49年竣工・3F建て・12戸)で2階開放廊下と手摺部分が崩れ落ち、1階に駐車してあった軽自動車がコンクリートの下敷きになるという事件が発生しました。
周辺には同じ時期に同じ業者が建設した3階建てマンション3棟があり、市は事件が起きたマンションに加え三棟中2棟に建物の使用停止を勧告しました。
事故の起きたマンション住民12人は全員が退去しましたが、他の2棟の住民の多くは、市の勧告に応じず生活を続けています。

市建築課は「退去時期に関して、特に期限を設けているわけでなく、自主的に非難するのを待っている状態」だとしています。
事故当時これら3棟のマンションには、管理組合は存在せず、また管理費や修繕積立金も徴収されていませんでした。
事故後1年経過した現在でも、設立された様子はありません。
事故後の現場の様子は、事故当時と変わらず、コンクリートの下敷きになった軽自動車はそのままの状態で放置されています。
そして、事故発生により区分所有権の放棄を望む声があがったり、区分所有者が亡くなったけれども、相続が行われていない住戸が発生するなどの事情が発生し、この問題の解決をさらに難しいものにしています。

建築基準法10条は、特定行政庁に対し保安上危険な建築物の除去、修繕など必要な措置を命じる権限を与えています。
また、マンション建替え円滑化法では、市町村長が危険・有害な状況にあるマンション区分所有者に建て替えを勧告できる規定もあります。
しかし、浦添市ではこのような規定を適用する事は考えておらず、「今は区分所有者の合意形成によって管理組合の設立を待っている状態」としています。
決局のところ、誰も何もできないし、何もしようとしない状態が延々と続いているようです。
来年のこの時期に、同じ事をつぶやく事のないように願いたいものです。

“来年のこの時期には儲からずに廃業しているから、つぶやけないよ”という声が後ろのほうから聞こえてきます。