マンション管理士の独り言・・・149

「修繕積立金の適正額」~管理新聞アメニティより

何度もつぶやいている様に今年2月の国会の国土交通委員会でマンション分譲時の修繕積立金の設定額について質問がありました。
分譲業者が売らんがために、意図的に修繕積立金の設定額を低くしていたために、築後3年のマンション管理組合が1級建築士に見直しをしてもらったところ、30年の長期修繕計画で5億5000万円だったものが、9億円に跳ね上がったという事です。
最近は修繕積立基金が普及しており、ある程度の積立額にはなりますが、12年目程度に行う第1回目の大規模修繕工事では補修が中心となるため平均的な所要金額は戸当たり70~80万円程度となります。

この修繕に必要な額が不足すると管理組合としては借り入れをおこすか区分所有者へ一時金を負担してもらうという事になりますが、その時になって多額の負担金に愕然とする事も多いようです。
前々からこのような意図的な修繕積立金の低額設定は指摘されていましたが、今回国会で問題となり、ようやく国も重い腰を上げ、修繕積立金の適正な額の設定に向けて動き出したようです。

現在では、修繕積立金の設定は、1度に多額の値上げとする方法ではなくて、例えば、5年サイクルで少しの額を段階的に上げていくという方法が多いようですが、この方法だと高齢化が進んだマンションでは一定年数ごとの積立金の増額には経済的な負担が大きくなりすぎるという不安要素があります。
これに対し、初期設定の時に数10年の計画を設定し、これに見合う積立金を平準化して月額を設定し、当初から同額で積み立てるという方法が考えられます。
この方法では、1回や2回の大規模修繕工事が実施されても、なお多額の積立金がプールされていて安心感があるというメリットはあるものの、資金管理や無駄使い防止、または横領などに神経をすり減らすというデメリットも考えられます。
また、最初の設定額が高めになる事が、購入者に受け入れられるかという問題も考えなくてはなりません。
どのような方法が望ましいのか、国もマンション管理組合も、及ばずながらマンション管理士も専門家として知恵を絞る時期に来ています。

“3人寄れば文殊の知恵”といいますが、管理士が3人寄れば、何とか文殊様の知恵には届きそうです。しかし、実際に話し合われる事は、経営の苦労話や、グチばかりになったりして・・・・。