マンション管理士の独り言・・・155

「分譲駐車場 ②」

さてさてシツコイように分譲駐車場問題第2弾です。
最高裁判決により、分譲駐車場の分譲代金を売主から取り返すのは、裁判上では事実上不可能であることは前回大きな声でつぶやきました。
しかし、これで問題解決とはいかないのがマンション管理の難しさです。
前回ご登場いただいた山上弁護士も言われていましたが、“分譲駐車場問題は、管理組合と売り主との関係から、今後は居住者間でのトラブルに移り、法廷で争われるケースが増える事が予想される”です。

まず第1に、駐車場利用者の間で不公平感が出てきます。
毎月使用料を支払っている駐車場利用者は、“自分は毎月使用料を管理組合へ支払って駐車場を利用しているのに、分譲駐車場を購入した人は、良い駐車位置でしかも使用料も支払わずに駐車場を利用している”、という不公平感です。
一方分譲駐車場を購入した人は、“○百万円も出して分譲駐車場を購入したのに、毎月の使用料なんて支払わない”、或いは、“当時の営業マンから未来永劫使用料は発生しないといわれた”、“分譲駐車場があったからこのマンションを購入した”、なんて反論します。

そこで、管理組合が分譲駐車場購入者へ駐車場使用料を支払うように働きかけることになります。
管理組合役員の中にも、分譲駐車場購入者とそうでない人がいたりして、理事会としてなかなか意見の集約ができないことが多いようです。
1年やそこらで解決できる問題ではありません。何年もかけて意見の調節を図ります。
それでも永い年月掛けての摺り合わせや説得の結果、分譲駐車場利用者が有料化に応じてくれれば良いのですが、少なからず訴訟へと発展する事が予想されますし、現実にそのような訴訟が増えつつあります。
その間に、入居者間の人間関係はズタズタになることは目に見えています。

現在の裁判所の判断は、仮に近隣の駐車場が1万円として10年で120万円。
その分譲駐車場を120万円で購入していたら、投下した分譲代金は回収できているので、11年目以降は、徐々に有料化していくこと認めています。
ですから、新築マンションの分譲駐車場を購入しようと思っている人は、その分譲駐車場は未来永劫使用料タダなんて思っちゃダメだし、購入費を回収したら徐々に有料化されていくと思った方がいいですよ。
しかもその際は、管理組合とおおモメにモメて、入居者間の人間関係はズタズタになるかもしれない事を充分に覚悟しておいて下さい。
分譲駐車場を購入しない人も、同様です。
分譲駐車場のあるマンションというのは、将来そのようなトラブルになる可能性を内在しているということを良く理解して、それでも良ければそのマンションを購入して下さい。
しつこいようですが、この問題は③へと続きます。