マンション管理士の独り言・・・156

「分譲駐車場・・・③」

今回も、分譲駐車場問題についてつぶやきます。
前回は、分譲駐車場があることにより毎月駐車場料金を支払って利用している入居者と、分譲駐車場利用者の間で不公平感が生じ、入居者間でトラブルとなり、最悪の場合は訴訟にまで発展することにもなりかねないとつぶやきました。
今回は、視点を変えて会計の面からつぶやきます。

駐車場利用料というのは、マンション管理組合財産となり、標準管理規約では、修繕積立金として積み立てるべきものとされています。
これは修繕積立金として積み立てて、将来の大規模修繕工事の際の利用しようとするものです。

北九州のマンションではまだまだ駐車場使用料を修繕積立金ではなく、管理費へ充当しているところも多くみられ、これはあまり感心しませんが、管理組合財産となっている点では同じなので、頼まれてはいませんが、許してあげます。
分譲駐車場の場合には、この駐車場使用料がマンション管理組合の財産とはならず、つまりは修繕積立金として積み立てられないということになりますから、大規模修繕工事の際に修繕積立金が不足することが考えられます。
大規模修繕項を実施するには、管理組合総会において過半数の賛成が必要となります。
修繕積立金の範囲内で大規模修繕工事が実施できるのであれば、一時金も不要なので過半数の賛成も得られやすくなりますが、積み立てられた修繕積立金では不足し、一住戸あたり○○万円という具合に一時金が発生する事になれば、過半数の賛成は得られにくくなります。
その結果、大規模修繕工事を実施しなければいけない時期に来ているのに、過半数の承認が得られずに、スラム化していくマンションが増えていく事になるのではと、とても心配しています。

仮に10台が分譲駐車場として販売されたマンションでは、1台が月額8,000円ならば、10台で毎月80,000円。年間で100万円。
第1回目の大規模修繕工事を15年後に実施するとすれば、その時点で1500万円もの修繕積立金が、積み立てられていないということになります。
この1500万円は、どこに行ったのでしょう?
単純な答えです。売主が分譲時に販売代金として、売主のポケットに入れています。
この程度の図式も理解せずにマンションを購入しようなどと思っちゃダメですよ。
買う人にも責任ありますよ。
そんな事とは知らなかったでは、痛痒はしても通用はしません。