マンション管理士の独り言・・・194

「重要事項説明書+売買契約書と管理規約、どっちが大事でしょう?」

マンションを購入するということは、手続き的には売主との間で売買契約を締結するということになります。
しかし、売り主側は締結前に宅地建物取引業法で定められた重要事項説明を行わなければなりません。
通常は、締結日の1週間くらい前に、“予め読んでおいて下さい。契約の前にご説明します”と言って重要事項説明書を手渡されます。
そして契約当日、重要事項説明を1時間程度かけて説明され、「重要事項説明を宅建主任者から主任者証の提示を受けて説明を受けました」という書類に記名捺印をして売買契約締結へと進みます。

管理規約は、できれば重要事項説明書を手渡される時に一緒にいただきたいものです。
間違っても売買契約締結の後にもらうものではありません。
長期修繕計画書まで揃っていれば、言うことありません。

そこで標題の「重要事項説明書+売買契約書と管理規約、どっちが大事でしょう?」
ですが、どちらがより大切な書類でしょう?どちらもなくてはならない重要な書類ですが、敢えて優先順位を付けます。

圧倒的大差で管理規約です。
何故って、重要事項説明書+売買契約書は基本的には売主と買主との間の取り決めにすぎません。
買主が変われば、売買契約書などの内容も変わってきます。
つまり売主と買主の当事者間の約束事にすぎません。
買主が他の第3者へ譲渡する際には、また新たな売買契約書などを作成するのが何よりの証拠です。

これに対し、管理規約の効力は、買主はもちろんその家族にも及び、さらには買主から譲渡された第3者や、相続人や賃借人にさえその効力が及びます。
そのマンションで暮らす第3者も管理規約を守らなくてはなりません。
売買契約がなされるたびに管理規約をその都度作成するなんてしませんよ。

また、仮に管理組合総会で管理規約の規定と異なる決議がなされたとしても、管理規約に反するような決議は無効とされます。
どうしてもその決議を行いたいならば、一旦管理規約を改正して、改めて決議を行わなくてはなりません。

恐るべし管理規約。圧倒的にダントツ1位なのです。
なのに、売主からも買主からも軽く見られています。

可愛そうな管理規約のお話でした。