マンション管理士の独り言・・・208

「販売“残”戸数」

マンション口コミを楽しみに見ています。
まだ書き込みはしたことがありませんが、時折、マンションコンサルタントのご意見という形で、この“独り言”が引用されていますので、ついつい目が行ってしまいます。

3月はほとんどのマンション売主さんの決算の締めの月ですから、引渡しが集中しちゃいます。
売り上げ計上するのは、申込時でも契約時でもなく、引渡時ですから何としても3月に引渡しをしなくちゃなりません。
引渡日が3月31日と4月1日では、暦上はたった1日の違いでしょうが、売主さんからすれば天と地ほどの違いがあります。

購入者からすれば、引渡時にどのくらい売れているのかは興味のあるところでしょう。
あまりマンションのことをご存じない方は、「引き渡しまでに売れ残った住戸あれば、その分管理費や修繕積立金は購入した人で負担するのかしら?」なんて質問もあるようですが、これはそのマンションにより異なります。
“重要事項説明書”か“管理に関する承認書”に、書かれていますから良く読んで下さい。ここでは詳しくつぶやきませんが、そんな事も知らないでマンション購入している方が結構多いのには驚かされます。

そこで“残”戸数ですが、結論から言うとパンフレットやホームページに書かれている“残”戸数はデタラメです。
そもそも“残”戸数の定義さえ売主ごとに異なります。
「販売済み」を申し込み時点で捉えるのか、契約時点で捉えるのかによっても違います。
また、契約締結していても融資承認が得られなかったりしてキャンセルになることがありますし、ましてや申し込みから契約まで進むのは、10戸申し込みのうち7~8戸程度です。キャンセルになったからといって、“残”戸数を増やすなんてことは絶対にありません。
通常の場合、実際の“残”戸数は発表された数字の1,5倍~2倍あると思ったほうがよいでしょう。

では、“残”戸数は全く根拠がない数字なのかと言うと、根拠は1つだけあります。
前回の広告チラシを折り込んだ時からどれくらい経過しているかによって数字を設定します。
たとえば前回残戸数を50戸、と表示していれば、「それから1か月経過したから5戸売れた事にして45戸としよう、1か月で5戸売れていれば、良い売れ行きと思ってくれるだろう。」っていう具合です。
チラシやホームページの残戸数は全くデタラメです。
当然ですが、販売センター内に掲示しているバラを指した販売状況表もやはりデタラメです。
売れているタイプや階数にバラツキがないように、まんべんなくバラを散りばめています。

ちなみにつぶやき主は、まんべんなくバラを指した販売状況表を作るのはとても上手でした。
当時のお客さんゴメンナサイ。