マンション管理士の独り言・・・209

「理事長の過ち」

“過ちを改めざるを過ちという”いきなり論語だったかな(?)高尚なコトワザからつぶやき始めます。
人間誰しも間違いはあるものです。
特に自主管理のマンション管理組合では、理事長さんは良かれと思って行ったことでも、管理規約や区分所有法に違反していたなんて良くある話です。
こんな時は、素直に“皆のために良かれと思ってやったことだけど、よくよく調べてみたら管理規約に違反していたみたいで、ゴメンナサイ。今後は気を付けます。もっと管理規約を読みます”で、オシマイの話ですが、困るのは、“素人が理事長やっているのだから間違うよ。管理規約なんか読んだことない。総会で過半数の賛成があったからいいんだよ”と開き直る人がいることです。

そして案外このタイプが多いのです。
間違えたら、それ以降は間違わないように管理規約を良く読むか、それも面倒ならばマンション管理士に相談すればいいのですが、間違ったことに対して開き直り、ましてやそれを正当化しようと画策するタイプまでいます。
そしてついには組合員同士のトラブルに発展し、最終的には裁判までに行きついてしまいます。

先日ご相談を受けた管理組合がまさにそうです。
理事長の発案で、修繕積立金を取り崩し、皆に分配してしまいました。
分配の方法は「守秘義務」だそうで、ほとんど理事長一任のようです。
全員の賛成もなく、ましてや管理規約の改正手続きも行わずに、議案書にも載ってない事を総会の決議だけで分配してしまいました。
さすがにおかしいと思った良識ある組合員が、「それは問題がある。専門家に聞いてみたら」と意見したのですが、くだんの「素人だから間違うよ・・・・・・総会で過半数の賛成があったからいいんだよ」で強行に乗り切ったようです。
しかし、やはりトラブルになりました。裁判へと進むようです。
裁判となれば、勝っても負けても後に禍根を残す事になります。
後味の悪いご相談でした。