マンション管理士の独り言・・・214

「マンション共同浴場・・・共用施設について」

不動産業界誌にマンション共同浴場についてのアンケート結果と考察が載っていました。近年充実化が図られているマンション共用施設ですが、入居後ほとんど利用されていない施設もある中で「共同浴場」は「成功率が高い」と言われているそうです。
共同浴場のあるマンションにアンケートをとった結果、マンション購入時には、共同浴場を“魅力に感じた”“まあ魅力に感じた”派が合計で88%、それが入居後には“満足”“ほぼ満足”派が合計77%、将来の必要性に関しては、“価格が上がっても必要”“まあ必要”が合計で48%になっています。
購入時に9割近い方が魅力を感じ、入居後も8割の方がほぼ満足ならば、共用施設とすれば充分合格点でしょう。

ですが、課題も残されています。
まず、維持管理費に多額の費用がかかります。
このマンションの規模は不明ですが、1世帯当たり1500円超の水道代が必要とされる上に、清掃や水質検査は毎日行わなければならないので、これらの人件費も考慮しなければなりません。
さらに、使用料の設定についても議論噴出のようです。
このマンションでは利用頻度に関係なく費用負担を全戸一律としていますが、これに対し、「良く利用する人には、使用料を上乗せすべきでは」という至極もっともな意見もあるようです。

もうひとつ忘れて行けないのが、この施設が設備されている分だけマンション購入費用が高くなっているという点です。
1住戸当たり何万円が上乗せになっているのかは定かではありませんが、間違いなくその分だけ購入価格アップにつながっています。

今回は、分かりやすい事例として「共同浴場」を取り上げましたが、マンション購入時にはその共用施設が本当に必要なものかどうかを見極めなくてはなりません。
その共用施設がある分だけ購入価格はアップしていますし、また入居後はその施設の維持管理費もマンション購入者が負担しなくてはなりません。
それでもその施設が、入居者から利用されるものならばいいのですが、ほとんど利用されずに“無用の長物”になったりして、最悪の時にはその廃棄や取り壊しに更にお金が必要な場合だって考えられます。
まったくお金をどぶに捨てるようなものです。

マンション売主は、見てくれのいい共用施設を造りそれを販売時の目玉にしてセールスを行うことが多いのですが、その施設がマンション入居者にとって本当に必要なものかどうかを見極める眼力が必要です。

ちなみに多くのマンション管理士は、「共用施設の充実したマンション」は大嫌いです。