マンション管理士の独り言・・・224

「売られてませんか・・・???」

売られてませんかって?て何が売られているかわかります?
土地ですよ。マンションの敷地。
マンションが建っている敷地なんか売られるわけないって思ってるでしょ。
ところが、大変なことに敷地が売られているんですね。

詳しく説明すると、マンションという建築物を建てるときには、建築基準法の建蔽率・容積率という枠内で建築しなければなりません。
たとえば100坪の土地があり、容積率200%ならば、その土地上には200坪までの建物しか建築できません。
そして容積率一杯まで建てて、建物竣工間際に建物がはみ出さない程度までをマンション敷地として残し、それ以外の建物周辺部分を第3者へ売り渡してしまうのです。

売り払うのは、マンション売主不動産屋。というより悪徳不動産屋。
当然ですが、建築確認申請時の敷地面積より竣工後の敷地面積は小さくなっています。
竣工した瞬間に容積率オーバーの既存不適格建物です。

小倉北区のマンションではこんなのもありました。
前面道路に面する部分がマンション駐車場になっています。
しかし駐車場料金は第3者へ支払っていました。
なんか変だなと思った住民が調べてみると、確認申請時にはその駐車場まで含めた敷地がマンション敷地となっていましたが、竣工間際に敷地を2つに分け(分筆)て、駐車場部分だけを第3者へ売り渡してしまっているのです。
悪い事にこのマンションは、この道路にしか面していません。
この道路に面した部分を第3者へ売られてしまっているから、このマンションは容積率オーバーに加え、敷地が道路に面していないという2重苦を抱える事になりました。
幸いというか、呆れるというか、マンション居住者はこのことに気づいていません。

建築局審査課へこのことを相談すると、「マンション管理士さんの力で何とかその駐車場部分をマンション管理組合で買い取る様に働きかけて下さい」と懇願されました。
もし、その駐車場に土地所有者が、例えば家を建築したいとして建築確認申請を提出されれば、建築基準法に適合していれば許可せざるを得ないのです。
これは最高裁判例でもあるようです。

でもそうなれば、“建築確認を許可するな!”としてマンション居住者からクレームがつき、板挟みになるのがわかっているから、何とか今のうちにマンション管理組合がその土地を購入する等の手を打ってほしいとのことでした。

つぶやき主はこの小倉北区のマンション以外に敷地の一部を売られてしまったマンションを3つ知っています。
でもまだまだ有りそうです。

あなたのマンションの敷地は知らないうちに売られていませんか?
特に昭和58年の区分建物所有法改正以前のマンションは要注意ですよ。
次回に続く・・・。