マンション管理士の独り言・・・244

「ヒアリングの重要さ」

裁判まで行ってしまって現在係争中の案件や、裁判まで一歩手前でしたが、なんとか当事者同士の話し合いで決着しそうな案件、そして最後に控えた一段と強烈なご相談が、本日開催された臨時総会で何とか終結しそうです。
いずれの案件もバリバリの守秘義務で固められた案件ですから、具体的の事は一切つぶやけません。

今週は、本日の臨時総会のために議案書や委任状作成のために忙殺されました。
当事者双方とひんぱんに打ち合わせを行いつつ最大公約数的な議事録作成まで何とかこぎつけました。
そして、総会の招集権者である理事長へ議案書を見せて“さあ配布”という段階になって、理事長が「自分は順番が回ってきてたまたま理事長をやっているだけだから、そんな重大なことを話し合う臨時総会の招集権者になるのは嫌だ」と言いだしました。

ましてや、委任状に記載していた、「代理人の記載がないものは、理事長一任とみなします」という文言に敏感に反応され、「代理人なんて嫌だ!!!」です。
理事長の責務を説明しても、途中まで聞いて「順番で理事長になっているだけだ。責任を持たされるのは嫌だ」です。

仕方なくこれまで管理組合の窓口になっている方へ相談すると、「招集権者は、理事長でなく管理組合としよう」「委任状も付けなくていいよ。いままで付けたことない」でした。
ここは、もう30年近く自主管理でやってきたマンションで、これまでの定期総会では、参加した人達だけでその場で出た議案を決議し、その決定事項を欠席の人も尊重し守ってきている、それで充分上手く言ってる、とのことでマンション管理士さんは杓子定規に考えすぎると言われちゃいました。

委任状なしで、当然ながら議決権行使書もない、という事で過去30年近く何事も起こらず、見たところ人間関係もギクシャクした様子はありません。
さすがにマンション管理士としては、組合員が議決権を行使できる機会を摘むわけにはいきませんので、委任状は、「代理人の記載のないものは棄権とみなす」ということで添付させてもらいました。

いままで自主管理ながら、組合員間のコミュニケーションも円滑にいき、しっかりとした管理運営ができている管理組合さんへ“やれ、区分所有法だ、管理規約が絶対だ!”なんて言っても嫌悪感をもたれるだけです。

その一方で、あまりに規約無視な事に対しては、セーブさせるようなアドバイスも必要になって来ます。
マンション管理士が入っていながら、いつまでも管理規約に則っていない管理運営でいいわけがないので、徐々に管理規約に従った管理運営となるようアドバイスしていかなければなりません。
それまでの管理運営を頭から否定するのでなく、ヒアリングを何度も何度も重ねて、その管理組合に合った管理方法を見つけ出す必要があります。
四角四面に法令順守などを主張せずに、多少のオーバーランには目をつむって、より良い管理方法を探る作業となります。
このあたりのバランスがとても難しいし、Aマンションで上手くいった手法がBマンションでは受け入れられなかったなどは日常茶飯事です。

厳しい道のりは続く・・・・。まだまだ続く・・・。もっともっと続く・・・。