マンション管理士の独り言・・・255

「マンション総合調査から・・・その④」

今回は、専有部分のリフォーム工事についてつぶやきます。
専有部分のリフォーム工事は自分の区分所有権の及ぶ範囲の改装工事なので、基本的には自由に行う事が出来るはずですが、その実施には管理組合の承諾が必要とされます。
マンション管理組合は、廊下・階段・外壁などの共用部分の維持管理を行うのが仕事ですが、それ以外にもマンション居住者共通の利益を守る立場にありますので、そのリフォーム工事が共通の利益に反しないように注意を怠ってはいけません。

通常リフォーム工事を実施しようとする場合は、

①図面や工程表を添付して理事長へ届け出る
②理事長は、理事会を開催して、その工事を許可していいかどうかを判断する
③判断できないときは、専門家のアドバイスを受ける事も出来る
④許可していい時は、承認書を発行する。(不許可の時は不承認書の発行)
⑤工事着工
という流れになります。

そして専有部分のリフォーム工事で1番多いのが、「床のフローリングへの張替」で全体の21%。昭和59年以前に建てられたマンションでは、51%もの多数に上っています。
続いて「浴室のリフォーム」18,2%。さらに「キッチンのリフォーム」16,3%と続きます。
一方、リフォーム工事を実施するに際して管理組合へ届けを提出したか、について見ると、「事前に管理組合の承認を得た」が31,6%。
「事前に管理組合へ届け出た」が37,5%。
「特に何もしていない」は15%に上ります。

「床のフローリングへの張替」を「何も届けずに施工した」なんて最悪です。
管理組合へ何も届け出ずに、タタミからフロアー材へ変更されたら下の階の方はいい迷惑です。間違いなく上の階の方とトラブルに発展します。
それだけで済まず、“誰がこんなリフォーム工事を承認したんだ?”と管理組合へ矛先が向いてくる場合だってあります。

何度もつぶやいていますが、床をタタミからフロアー材へ張り替えると下階への遮音性能が著しく劣化します。
このため多くの管理組合では、この工事の時は床材の材質をL45という日本建築学会発表の遮音等級1級~特級のものを使用するようにしています。
更に、遮音等級の優れた床材を使用するだけでなく、上下左右の住戸の方の承諾書の添付を求める管理組合もあります。

これから専有部分のリフォーム工事を行おうとする区分所有者、それを受け付ける理事長以下役員の方、さらにはリフォーム工事を請け負った工事業者、これ等の方はもっと管理規約を熟読してくださいね。