マンション管理士の独り言・・・275

「第3者管理方式・・・理事長派遣」

朝日新聞20日朝刊に掲載されていた「第3者管理方式」について、実際にこれを採用しようとするときに、どのような手続きが必要なのかについてつぶやきます。
「第3者管理方式」というのは、そのマンションの購入者(=区分所有者)でない人(主にマンション管理士などの専門家)に管理者(=理事長)をやってもらう方式のことを指します。

マンション法とも言われる“区分建物所有法”では、管理者は第3者や法人でもウェルカム、要するに誰でも構わないのですが、この区分所有法を元にして、より実態に即したものとして国交省が作成したものが“標準管理規約”で、多くの管理組合ではこの“標準管理規約”をベースにそのマンションの管理規約が作成されています。
そしてそこには、役員要件として「現にそのマンションに居住している組合員」という縛りがついています。
そのマンションに居住している人が、やはりそのマンションの実情に詳しいから役員になってもらうべ、という合理性のある規定となっています。

しかし、昨今の様に賃貸化・高齢化が進むと、「現に居住している」組合員だけでは、役員を務めるのは数の上からも難しくなって来ます。
そこで「第3者管理方式」という考え方が出てくるのです。

しかし、“良さげだから、早速明日から採用しよう”っていうわけにはいきません。
まずは、
①管理規約の改正が必要です。「現に居住している組合員」という文言があれば、これを削除しなければなりません。さらに、役員要件に「マンション管理士の様な専門家」という文言を加筆しなければなりません。
②管理規約の改正となり、総会議案書には、議案の要領が必要とされますので新旧対照表くらいは添付したいものです。
③管理規約に規定されている通り、総会開催の1週間(或いは2週間)前には上述議案書を組合員全員へ配布しなければなりません。
④総会では、管理規約の改正は、区分所有者の頭数+議決権総数の各4分の3以上の賛成が必要です。特別決議ですから強行規定となり、この4分の3以上という数字を高くする事も低くする事もできません。
⑤管理規約の改正が承認されれば、次は、○○マンション管理士に、この内容で、この金額で、この期間で役員になってもらう(或いは理事長や顧問)という決議を得なければなりません。

1番スムーズに事が運んでも上記①~⑤の手続きが必要ですが、できればこの間に説明会なども行ったほうが丁寧な運営と言えるでしょう。

新聞では、「第3者管理方式」なんて簡単に書きますけど、実際にそうしようとなったら、かなり面倒な手続きを踏まなければなりません。

実際に「第3者管理方式」を検討してみようと思っている役員の方は、遠慮なくお尋ね下さい。
でも、その挙句に、他のマンション管理士を採用しちゃ・・・ダメ。