マンション管理士の独り言・・・278

「管理規約について考える・・・①」

つぶやき主は、NPO福岡県マンション管理組合連合会の標準管理規約“福岡バージョン”作成の唯一の外部法務委員として携わっていました。
“唯一の外部法務委員って何度も何度も言うけど、それがそんなに偉いのか”と言われそうなので、もう言いません。
加えて、最近は管理業務主任者やマンション管理士の受験講座の講師を務めていますので、改めて民法や区分所有法や標準管理規約について勉強しています。
再度基礎をミッチリ学習しましたので、管理組合の憲法ともいえる管理規約について、より深く専門的につぶやきます。

今回は、総会での承認される票数についてつぶやきます。
区分所有法では、総会開催の定足数は特に決められていません。
これに対し、標準管理規約では定足数は半数以上の参加必要となっています。
定足数というのは、その会議が有効に開催されるためには、最低これ以上の参加者がないといけませんよ、という最低参加人数のことです。

例えば、100戸のマンションで1人1戸ずつ所有しているとすれば、区分所有者の数は100、議決権数も100です。
区分所有法では、総会開催について定足数はないものの、普通決議は区分所有者の数と議決権数のそれぞれ過半数の賛成が必要ですから、51以上の賛成を得なければなりません。つまり51の賛成がなければその議案は承認とならない事になります。
これに対し、標準管理規約では総会が有効に成立するための定足数は半数以上なので50の参加で成立します。
この参加者には、実際に総会に参加する人+委任状提出者+書面による議決権行使者が含まれます。
仮に50の参加があったとして、過半数で承認とされますのでこの場合の賛成者の数は26ということになります。このようにおなじ普通決議の議案でも区分所有法では51の賛成が必要なのに、標準管理規約では26で承認となっちゃいます。

そして、多くの管理組合では標準管理規約を参考にしていますので、26の承認でOKとなっています。
ここ10年くらいの内に分譲されたマンションの管理規約は間違いなく26承認のタイプです。

100に対して26という4分の1程度の数で承認というのはおかしいだろうということで、NPO福岡県マンション管理組合連合会の標準管理規約“福岡バージョン”では区分所有法に倣い、承認には区分所有者数、議決権数の過半数が必要としました。
つまり51の賛成が必要と改めました。
この方が組合員の意見をより尊重しているとは言えるものの、承認には今までよりかなりハードルが高くなりました。
理事会役員さんは総会に際して、より多くの組合員に参加してもらえるよう努力しなくてはなりませんし、また承認を得るためには丁寧な議案作り、開かれた管理組合にする姿勢が今以上に必要になってきます。