マンション管理士の独り言・・・280

「修繕積立金の取り崩し」

今年の夏以降、強烈なご相談が3件続けざまにあったことはつぶやきました。
まず1つ目は、大手建設会社が隣との住戸のコンクリート壁をぶち抜き、2住戸を1住戸にしてしまい、管理組合から「共用部分のコンクリート壁を取ったらいかんじゃろう」との指摘を受け、つぶやき主に「何とかして下さい」と泣きついてきました。
これに対しては共用部分の重大変更として臨時総会を開催して、4分の3以上の特別決議により承認を得る事で解決しました。
勿論、臨時総会開催のための議案書作成から、理事との打ち合わせなどをつぶやき主が行いました。

続いては、6年前に実施した大規模修繕工事に対して、現理事の間で、何故○○建設会社へ発注したのか?役員に不正があったのでは?という疑問が生じ、それを調査するための調査委員会の委員長になってほしいとの要請があり、あまり受けたくはなかったのですが、他に適当な人もいないということで就任しました。
建設業者選定に際しては、もっとキチンとした手法や総会開催の手続きが必要だった、という点はありましたが、取り立てての不正もない事が判明し、これも1件落着です。

そして最後が、まだ公につぶやいてなかったのですが、今週号のマンション管理新聞で大きく取り扱われたので、遅まきながらつぶやいちゃいます。
戸畑のマンションで、修繕積立金を取り崩して組合員へ返却してしまいました。
長期修繕計画からしても、現在の預金額とこれから貯蓄されていく金額とで修繕工事費は十分賄えるので、現在の積立金を取り崩して組合員へ返金しようとなり、実際に取り崩して返金してしまいました。
「修繕積立金は将来の修繕工事のために積み立てるべきものであって、取り崩してはいかんやろうもん」という極めて正常な1人の組合員がつぶやき主へご相談に来られました。取り崩しのための臨時総会の議案書の作り方がデタラメならば、議案書配布の仕方もデタラメ、議事進行もデタラメ、極めつけはそのデタラメなやり方で決められた決議を全く無視した返金額。と空いた口がふさがらない管理組合運営です。
その後2人の弁護士を紹介して今現在係争中です。
法曹界でも有名な事件になっています。
結果は見えていますが、「受け取った金員は管理組合へ返却しなさい」となったら、どのように返却するのでしょう?
またきっと、強烈なご相談としてつぶやき主のところへ持ち込まれてくるのでしょう。