マンション管理士の独り言・・・294

「残戸数って本当?」

マンションコミュニティなどに、「残戸数があといくつになった」「もうすぐ、完売ね」なんていうのがアップされていますが、売主発表の残戸数はデタラメです。というより、とてもいい加減です。

つぶやき主が販売センター長だった時代にも、新聞折り込みチラシを作成していました。例えば2ヵ月間で4回のチラシを折り込むとして、1回目と4回目とでは2ヶ月経過している事になります。
チラシには残戸数を掲載しなくてはならなくなっていますので、「2ヶ月後には、これくらいは売れているだろう」という大まかな予想数字を掲載する事になります。
まさかそこまで細かく見ている人はいないだろうと思いつつ、売れている雰囲気を醸し出すために残戸数は少なめの数字とします。

ひとつのマンションのチラシを時系列に見てみると、あるチラシから急に残戸数が増えている事があります。
1か月前のチラシでは残戸数7だったのに、今回は12戸に増えているなんてことを見かける事があります。これは最終段階での数字合わせですね。
また、「いよいよ最終1戸!!」なんていうのもあまり信用できません。最終1戸のために大枚はたいてチラシを折り込むのかな、って感じです。

そもそも“売れた”というのを、予約・仮押さえ・申し込み・契約のどの段階とするのかについても決められたルールなんて存在しません。
売主や販売会社独自の判断ですし、それも統一されてなく、その時々で基準が変わります。
予約・仮押さえなんて購入希望者の「気が変わった。買わない」でオシマイです。
申し込み・契約でさえ、ローンの事前審査でアウトになれば、キャンセルになっちゃいます。

本当に1番信頼できる数字は、引渡しの数です。
引渡しだと全額入金済みですし、キャンセルなんてありえません。
しかし、これだといくら成約数があがっていても、竣工しないうちはゼロのままですし、実態を正確に反映していない事になります。
竣工後物件については、引渡し数でカウントするのがもっとも信頼できる販売状況と言えるでしょう。

さらに、引渡し数でないカウントの場合には、残戸数についてはいよいよ最後の2~3戸にならないと本当の数字は誰もわかりません。
販売センター長でさえ、本当の数字はわかっていません。
成績の上がっていない営業マンが苦し紛れで“良い数字”を報告してくる事は日常茶飯事です。申し込み客が“止めた!”と言ったことを黙っているなんてしょっちゅうです。
また販売センター長も支店会議などでは、“ちょっと色をつけた、甘い見通し”の報告をしますし、それを受けて支店も本社にいい顔するために“更にチョー甘”の報告を行うということになります。

結論として、販売担当者やセンター長でさえよくわかっていないのが、残戸数です。
「先月より1戸減った。」なっていって一喜一憂するのは止めましょう。
ちなみに販売センターに大きく掲示しているバラの花がついた販売状況表ですが、あれも「本当なの???」ですよ。