マンション管理士の独り言・・・297

「修繕積立基金は大丈夫??」

多くの売主さんが年度末に入る3月へ向けて、2~3月は引渡しラッシュです。
売り上げ計上となるのは、契約日ではなく引渡し時だからです。
何としても3月末の年度内に引渡す必要があります。
購入者の引っ越し日が何時であっても、実際に生活し始めるのが何時であっても、3月末の引渡しを求められます。

購入者が引渡しを受ける場合は、引渡日の1週間~前日までくらいに売買代金の残額に加えて、登記費用などの諸経費と一緒に修繕積立基金を前もって売主さんの口座へ振り込む事となります。
このうち売買代金残金は売主さんへ支払われ、諸経費は売主さんが預かるものの、司法書士や銀行などそれぞれの支払い先へ支払われていく事になります。
修繕積立基金に関しても、売主さんが一旦預かってから、管理会社へ送金することが多いようです。

さてこの修繕積立基金ですが、将来の大規模修繕工事に備えて当初の段階より購入者からまとまったお金を負担してもらい、管理組合としてプールしておこうという性質のものだということはご存じでしょう。つまりは、管理組合員である皆さんの財産です。
ですから最終的には管理組合が保管すべき財産で、それを委託を受けた管理会社が責任もって保管すると言う事になります。

しかし、修繕積立基金に関し実際のお金の流れとしては、一旦売主さんが購入者から預かり、その後管理会社へ送金するということになりますが、売主さんから管理会社への送金までの間はこのお金は保全されていないこととなります。
もしもこの間に売主さんが倒産したらどうなるのでしょう?
“確率の世界では起こりえるかも知れないけど、実際の世界ではそんなことは、起こんないよ”と多くの方が思われているでしょうが、世の中何が起こるか分かりません。

実際に一昨年、関西でこのような事故が発生しました。
修繕積立基金を購入者から預かった売主さんが、そのお金を管理会社へ送金するまでの間に倒産してしまったのです。
何やら、きな臭い感じもしますが、被害にあった管理組合は職務怠慢として管理会社を訴えています。まだ、係争中のようです。

この事件を受けて国交省では、修繕積立基金の預かり方として、
①購入者は直接管理会社へ振り込む
②売主が預かったとしても、その日のうちに管理会社へ送金する
などの方法を指導していますが、強制力はありません。
しかし、東京あたりではこの国交省の指導に沿って、売主さんを経由せずに修繕積立基金に関しては直接管理会社へ振り込む方法を採用している売主さんも増えていると聞きます。まだまだご当地では、一旦売主さんへ振り込むという方式が多いようですが、本来売主さんが持っているお金ではありません。
速やかに管理会社へ送金しているのか、また何時送金するのかを確認しましょう。

“自分が購入したマンションの売主さんは大丈夫だろう。速やかに管理会社へ送金しているはずだ”なんて思っていませんか?
仮にも北九州のマンション事情に明るいつぶやき主の独り言ですよ。
そうなっていない売主さんがいるというしっかりした情報の裏付けがあるんですよ。
自分のお金は自分で守りましょう。

守るお金がある人は、「う・ら・や・ま・し・い・・・。」