マンション管理士の独り言・・・302

「管理費が不足したら・・・」

年度の途中からお世話している管理組合で、思わぬ出費がかさみ管理費が不足するかもしれない、ってところまで来てしまいました。
理事の方から、「管理費が不足したら、修繕積立金から流用していいよね」って質問が来ました。
通常はこのようにならないように予備費を計上していますが、この管理組合ではギチギチの予算を組んでいたようです。

このように年度途中で管理費が不足したらどのように対処するかと言うと、
標準管理規約には、

①区分所有者に専有面積に応じた持ち分割合で追加徴収する
②年度途中で予算が変わる事になるので総会を開催して改定予算の承認を得る と規定されています。また、
③修繕積立金の解約は総会での決議が必要ともされています。
したがって、総会を開催する必要があります。

でも良く考えてみてください。実際上、こんな事しますか?
各区分所有者へ管理費追加徴収のご案内を配布している管理組合なんてありますか?

もしこのようなご案内を配布したら、“何をまどろっこしい事やってんだ!修繕積立金でカバーしろよ”となるでしょうし、また予算案が変更になったからと臨時総会を開催しようとすれば、“この忙しい時にそんな事で総会なんて開催すんなよ。理事会で上手くやってくれよ”
と言われちゃいそうです。

マンション管理士として一応は教科書通り上記①・②・③のような正論を伝えますが、実際は、「修繕積立金から流用して、通常総会で報告しましょうね」とアドバイスしちゃいます。
教科書通りに行かない事というか、実務上“そんなまどろっこしい事やってられないよ”という事が多いです。
「あくまで共用部分は皆のもので、皆で管理するべきものだから、皆で話し合って決めましょう」という崇高な理想はいいのですが、実際の現場では、そのようになっていない、そんな手間暇かかること出来ないよ、というのが本音のところです。