マンション管理士の独り言・・・303

「視点が違うっしょ」

地場デベロッパーのK社の重要事項説明書・売買契約書・管理規約を検証しています。
地場・大手に限らず多くの売主のこれら重要書類を見てきたつぶやき主ですが、この会社のものは明らかに他とは異なります。
K社のこの書類を作成した人は、とても良く勉強していることが感じられます。

しかし、視点が間違っています。
売主寄りというか、あまりに自社利益の側に立ち過ぎているという印象を受けます。
そして、購入者や入居者との間で何か問題が起こって、仮に裁判になってもいいように、これら重要書類には「・・・・・とすることを買主は認めるものとする」という言葉がアチコチに散らされています。

たとえば、未販売住戸があってもその管理費・修繕積立金を負担しないとは書いていなくて、後日管理組合負担分と売主負担分とを精算すると記載しています。
どのように負担するかなどの記載はありません。
さらにご丁寧にも売主が未販売住戸の販売のために共用部分を利用するのは無償です、と記載されています。
購入者がこのような記述を読んだとしても何のことか理解できないと思います。
仮に理解できたとしても、それが他の売主と比べてどうなのかなんていう判断はつくわけがありません。

しかし、このように記載され、承認するという印鑑をつけば、売主有利な内容であっても有効となります。
購入者は、売主ほど情報も経験もないという明らかな事実があるのに、知らない方が悪いと言うばかりに遠慮仮借なく売主有利な規定を散りばめている気がしてなりません。

また、K社の八幡西区の物件では、敷地の一角を分譲駐車場としています。
売買対象のマンション敷地とは分離していますので、区分所有者へマンション敷地以外の土地を分譲した形となっています。
これだけならば全く問題はないのですが、この分譲駐車場はマンション敷地内を通らないと駐車できないところに位置しています。
知らない人が見ればマンション内の駐車場そのものです。
そして通行料のつもりでしょうか、月に200円を管理組合へ入金するようになっています。
将来、管理組合でトラブルが生じ分譲駐車場への駐車のためのマンション敷地内の通行を認めないと決議したらどうするのでしょう?
通行を認めないまではいかなくても通行料を値上げするなんてことは充分考えられます。

自社は分譲駐車場を販売できて利益があがったから良かったでしょうが、その後の運営やもしトラブルが生じたとしても管理組合で解決してね、という姿勢が透けて見えます。

昨日は、ザハウス大手町プレミアムの内覧会に同行してきました。140㎡超の大きな住戸だったのですが、たっぷり5時間かかりました。
そんなこんなで少々疲れている上に、最近検証する重要書類はあまりに売主寄りのものが多く、少々辟易しています。