マンション管理士の独り言・・・320

「エレベーター台数」

北九州住宅供給公社と地場3社(なかやしき・九州産共・泰平建設)とが事業体のマンションが門司で販売されています。
「ベイトリア門司マリーズ」です。131戸のマンションです。
このマンションには何と5基のエレベーターがあります。
2住戸に一つの割合になります。

この場合、営業マンは、「中住戸なのに自宅前を人が通過することない角部屋感覚ですよ」「人が通過することないので、プライバシーが守れますよ」「通勤通学時にエレベーターの待ち時間が少なくて済みますよ」とセールストークを連発します。
このセールストークは正しい。その通りです。

一方ザ・ハウス大手町プレミアムでは70戸で1基のエレベーターでした。

これはマンションコミュニティなどで、さんざん「70戸で1基のエレベーターでは少なすぎる。」「通勤通学時には、エレベーター待ちでイライラすることになる。」なんて意見もだいぶ上がっていました。
確かにエレベーターの数が少なければ、待ち時間は多くなりますので、これらの意見も正しい。
最近では同じなかやしきさんが分譲しているアーティックス井掘ソルパラッツオなんかでも70戸に対してエレベーターは1基です。

これをマンション管理士が見ればどうなるかというと、
エレベーターの保守メンテナンス費用は管理費から支出されます。
「ベイトリア門司マリーズ」の管理会社さんはなかやしきエステートサービスですから、エレベーターに関してはフルメンテナンスを採用することとなり1基55,000円(月額)程度です。
従って5基で月額275,000円となります。年額では3,300,000円。

さらになかやしきさんの長期修繕計画ではエレベーター取替を20年目で実施することになります。
この時の取替費用が1基6,200,000円ですから5基で31,000,000円となります。
フルメンテナンス費用を年額3,300,000円、20年間支出することとなり、合計で66,000,000円がメンテナンス費用となります。
これに取替費用を加えると97,000,000円がエレベーター費用として必要という計算になります。

これを1戸当たりで計算すると月額3,085円の負担となります。
「ベイトリア門司マリーズ」の管理費は、㎡当たり160円となっており仮に80㎡の住戸ならば管理費は月額12,800円です。
この12,800円のうち約4分の1がエレベーター維持のための費用として支出されることになります。
この4分の1という数字を大きいと捉えるか小さいと捉えるかは、その人の判断によります。

「アンタなら、どう思う?」って・・・。
つぶやき主なら、「エレベーターを一日に何度も利用するなら仕方ないかな」って思いますが、「2階や3階に住んでほとんどエレベーターを利用しないなら、その分管理費減らしてよ」、って思います。

エレベーター数は多ければ多いほど便利はいいけれど、その分費用負担も多いですよ。
しかもエレベーターを利用しない下階の方は、なんか釈然としないなって感じ、というお話でした。