マンション管理士の独り言・・・336

「モデルルーム」

前回に続いて、竣工前の物件を購入する際の注意事項をほんの少しだけつぶやきます。
今回は「モデルルーム」です。
まだ、建物が建っていないころから、販売センター横にあるのが、棟外モデルルームといいます。
そして建物が8割程度出来たときにその建物内に設置するのが棟内モデルルームといいますが、今は実物モデルルームと言ったりしているようです。
棟内モデルルームを設置するときは、役所に仮使用の申請を提出しなければなりません。工事途中にその現場内にモデルルームを設置するのですから、何より見学者の安全確保を第一に考えなければならないからです。
そして、落下物防止のための見学者専用の通路(トンネルなど)を確保しますが、それでも必ずヘルメット着用です。

棟内モデルルームの方は実物そのものですから、実際に見て触れて、眺望なども体感することができます。
しかし、棟外モデルルームの方は、こういう仕様になる予定ですよ、という程度のものですから、竣工して実際の仕様とは異なる場合も出てきます。
これが、キッチンや洗面化粧台など目につきやすいものならば、売主さんは“棟外モデルルームと実物とでは異なる仕様となりました。理由は○○○○だからです。”なんてキチンと説明してくれるのですが、あまり目につきにくい箇所の説明はおろそかになっちゃいます。
というより、明らかにモデルルームより品質が劣るものを実物で使うことになる場合は、何とかゴマかそうとする売主さんもあるようです。

具体的な例としては、サッシュの高さが低くなった・梁の出が大きくなった・梁下の高さが低くなった・柱型が部屋内に出てきた(モデルルームには柱型は出ていない)・玄関前のタイル貼りだった部分が吹き付け仕様となった・ドアノブが安っぽくなったなどです。

そして、モデルルームと実際の仕様とが異なる場合に売主に求められる説明責任を果たさないばかりか、なんと、モデルルームの方をやり替える売主さんもいます。
そして、“モデルルームは初めからこうでしたよ”なんて具合です。

「うそーっ!!」と思われるかも知れませんが、全部実例です。
まだ竣工していないマンションを棟外モデルルームを見て決めようとする方は、間取りや設備仕様だけをうっとりと眺めていちゃダメですよ。
特に梁下の高さの確認、サッシュ高さの確認、柱型が部屋内にどれだけ出っ張るか、床フロアー材の貼り方や段差などについて気を付けて見なきゃいけませんよ。
写真にまで収められれば、ご立派。