マンション管理士の独り言・・・366

「駐車料金タダ」

小倉北区の現在分譲中マンションで駐車料金タダという謳い文句のものがあります。
この駐車料金タダについてマンションコミュニティなどで、タダの何が悪いのか?なんていう論争があっています。
そんな論争の中に飛び込むほどの勇気は持ち合わせていませんので、こっそりとつぶやきます。
駐車料金タダには、管理組合活動に次のような害をもたらします。

まず第一に、駐車料金は、修繕積立金に組み入れられて将来の大規模修繕のために積立られるものです。
従って、駐車料金タダならば、それだけ修繕積立金が貯まらないことになります。
大規模修繕工事を実施するのは、総会の決議が必要です。
「大規模修繕工事を実施すること」の議案を総会で承認を得るためには、大きな要素があります。
それは一時金が発生しないことです。

“大規模修繕工事を実施しますが、これまで皆さんが積み立てた修繕積立金で工事費用はまかなえます。工事を発注してよろしいでしょうか?”という議案ならばまず間違いなく承認されます。
これに対し“大規模修繕工事を実施しますが、積み立てている預金額では工事費が足りません。1住戸あたり、○○万円の1時金が必要です。工事を発注してよろしいでしょうか?”という議案ならば、不承認とされる可能性が高くなります。
いつまでたっても総会で承認が得られずに、マンションがスラム化するというのが最悪のパターンです。

このように大規模修繕工事実施時に一時金が発生しないように、毎月キチンと修繕積立金として積み立てましょう、駐車場使用料も修繕積立金に組み入れましょう、というのが国交省の考えで、つぶやき主もこの考え方に大賛成です。
駐車料金タダというのはこの考え方に明らかに逆行します。
一見すると儲かっているように錯覚しますが、その分修繕積立金が不足し、将来の大規模修繕工事実施時に一時金が発生するということになりまねません。

それ以外にも、修繕積立金が不足するのが判明して、“では駐車料金を徴収しよう”となった時に、総会が揉めます。
また、駐車場を利用しない人が他の区分所有者に貸す場合の管理組合としての関与の仕方や、またその料金設定などでも揉めます。
分譲駐車場と根っこが同じ問題です。

駐車料金タダなんてやられると、管理組合活動がやりにくくって仕方ありません。
全く無責任な販売方法です。

駐車料金タダには、このような仕組み・落とし穴があります。それをわかっていても。それ以上に魅力的なマンションならば購入すべきですが、“駐車料金タダにはこんな問題があるということが最初からわかっていたら、このマンションは買わなかった”、というのは大人の買い方ではないっすよ。