マンション管理士の独り言・・・367

「内装リフォーム」

多くのマンションの管理規約では、専有部分のリフォーム工事をする際には、理事長へ届け出ることが規定されています。
専有部分は、基本的にその人の所有権の及ぶ範囲なので、一見すると自分の所有物に手を加えるのに、管理組合に承認を得る必要などいらないような気がします。
しかし、壁一枚隔てて隣は他人の持ち物ですし、また、工事にあたっては共用部分である廊下・階段を使用します、エレベータだって利用するかも知れません。
管理組合では廊下や階段を傷つけないために養生するよう指導したり、騒音が発生するような場合には、階下の住戸や隣戸の人からも承諾を得るように要請しなくてはなりません。

手続き的には、工事を行おうという申請者(区分所有者)は、図面や工程表などを添付して理事長に工事許可申請を提出します。

それを受けた理事長は理事会を開催して、承認か不承認かを決定することとなります。
この際、判断がつかないときは、マンション管理士や1級建築士の助言を求めることが出来ます。
助言に要する費用は、申請者負担です。
そして理事会で許可となれば申請者へ許可書を発行するという手続きになります。

特に和室を止めてリビングと一体化させ、広々リビングにしようとする申請の際には、理事会はより慎重に検討しなければなりません。
畳 →→ フロアー材への変更は階下へ対する遮音性能が著しく低減します。
そこで多くの管理組合では、床をフロアー材へ変更するときは遮音等級L45以上のものを使用するよう義務付けています。
さらに、階下の方の承認書の添付も必須です。

このように規定していないと、遮音等級のあまり良くない床材を使用し、階下の方と騒音でトラブルになり、さらには、階下の方から「何で理事会は、こんな工事を許可したんだ」となって、管理組合が訴えられるという事態にまで発展したケースだってあります。

専有部分のリフォームを行うには、このような手続きを経なければならないということを、残念ながら知らない区分所有者が大勢います。
役員さんにもいますし、理事長だって知らない方がいます。
さらに、内装業者も知らないというパターンが多いので、困ってしまいます。
手続きを知らないというだけならば、まだ救えますが、共用部分をへっちゃらで扱ってしまう業者さんが多いのには閉口してしまいます。
特に、お風呂を追い炊きにしようと躯体であるコンクリートを貫通させて配管しているケースは頻繁に目にします。
原状回復を管理組合から要求されたらどうするのでしょう?
マンション関係者は、もう少し内装リフォームについて勉強しなければなりません。
大火傷しますよ。