マンション管理士の独り言・・・370

「不動産業も大変だ」

市内の不動産屋へ、アットホームシートというのが配達されます。
「うちの会社では、○○物件を売ってくれという依頼があったので、詳細情報を教えるよ。購入希望者がいれば紹介してね」、みたいなものです。

そんな中、“問題のあるマンション”が中古で売りに出されることがあります。
“問題のある”というのは、表面上はキチンとしているように見えますが、管理組合内部ではゴタゴタ、大モメ、既存不適格などのマンションの事です。
管理組合と区分所有者とが裁判で係争中のマンションや、駐車場のことで大モメにモメているマンション、前理事長と現理事長とが訴訟合戦をやっているマンション、さらには、建物が建ったと同時に敷地を第3者へ売られてしまって建ぺい率、容積率が不足し既存不適格となっているマンションなどです。

購入希望者は、そんな事とは露知らず、で購入するのでしょう。
そして入居してから管理組合内のゴタゴタを知ることとなり、後悔することとなります。
「こんなゴタゴタしているのがわかっていたら、このマンション買わなかったのに」なんて調子でしょうが、もう仕方ありません。
しかし我慢できません。

その矛先が仲介をした不動産屋に向けられたらどうなるのでしょう?
宅建業法で定められた重要事項には該当しませんし、何よりそんな管理組合内部のゴタゴタなんて普通の不動産屋に事前に分かるわけありません。
普通の不動産屋にはわからないけど、普通じゃない不動産屋にはわかるのって?
そんな管理組合内部の状況までわかる不動産屋ってあるの?それは、どこ?
っていう質問には、・・・デヘヘ、デヘヘ、です。

既存不適格かどうかに関してだけは、謄本を調べ、当時の確認申請を閲覧すればわからないわけじゃありませんが、敷地を売られているなんて普通の不動産屋では考えつかないでしょうから、見過ごされると思います。
ですから、仲介した不動産業者がそこまで調べるべきかどうかは、最終的には裁判所の判断によることとなります。

もし、そんな“問題のあるマンション”を売ってくれと依頼されてもやんわりとお断りするしかないかな、と思っています。
お受けしても、購入者には真実を告げなければなりませんし、真実を告げれば買うわけありません。→ ですから、売れません。

これらのことを知ってか、知らないのか、今日もまた大いに“問題のあるマンション”がアットホームシートで回って来ました。
知らずに買った購入者から、後で説明不足・説明義務違反で訴えられなきゃいいな、と心配しています。

このご時世、中古マンションを買うということは、調べなきゃいけないことが沢山あって購入者は本当に大変です。そして、調べきることはおそらく不可能です。

しかし、不動産屋も大変です。