マンション管理士の独り言・・・378

「管理に関する承認書」

新築マンションを購入する際には、売主さんから重要な書類をいただき、また多くの書類に署名捺印を求められます。
いただく重要な書類には、重要事項説明書・売買契約書・使用細則・長期修繕計画などがあります。
長期修繕計画に関しては、優良住宅にしか添付が求められておらず、以前は契約時に交付しない業者さんもありましたが、さすがに最近では交付しない不届きな業者さんはいないようです。
以前の長期修繕計画というのは名ばかりなもので、その精度はいい加減なものが多かったのですが、最近のものは結構実態を反映していて精度が高いものが増えてきています。

それら重要な書類には、署名捺印を多く求められます。
“重要事項説明書を宅建主任者から説明を受け、理解しました。”“売買契約書に買主としてこのような支払方法で本物件を購入します。”という具合です。
そして少し軽く見られていますが、この署名捺印を求められる中に「管理に関する承認書」というのがあります。

マンションを購入して区分所有者になれば、そのマンションの管理規約を守らなければならないのは、ご存じだと思いますが、この守らなければならない管理規約は、別に区分所有者が皆で集まって話し合って決めたわけじゃありません。
売主とか管理会社が予め用意した管理規約原案(これを原始管理規約といいます)について、この内容でいいですよ、承認しましたよ、と承認しただけのことです。
しかし、このようにして区分所有者全員が署名捺印すれば、全員が賛成したことになりますから、この原始管理規約が管理規約として発効することとなります。
言い換えれば、原始管理規約を、正式な管理規約として発効させるために、「管理に関する承認書」に区分所有者全員の署名捺印が必要となっているのです。

後で読んでいないとかいうのは通用しません。
読んだか読んでないか、どの程度理解したのか、なんていうのは関係ありません。
“署名捺印してんじゃん。”となります。

管理に関する承認書をよく読んでください。
必ず、第1条か第2条あたりに、「区分所有者全員の署名捺印を以て、本管理規約を○○マンション管理規約原本とする」って書いてありますから。
管理組合活動は入居した時から始まっているんじゃありませんよ。
管理に関する承認書に署名捺印した時から始まってんですよ。

売主さんから提示される原始管理規約は良く読んでくださいよ。
後で、“こんなことが書いてあるなんてしらなかった”と言いだす人が多くて困ってしまいます。