マンション管理士の独り言・・・379

「原始管理規約」

前回は、「管理に関する承認書」というテーマでつぶやきました。
新築マンションを購入すれば契約時か、遅くとも引き渡し時までに「管理に関する承認書」に記名捺印を求められます。
この承認書に署名捺印をすると、そこに書かれていることを理解し、承認したということになります。
その中でも特に重要なのが、管理規約発効に関しての記載です。
売主さんが用意した管理規約(原始管理規約)の内容で、承認しますという一文が必ずあり、購入者全員が署名捺印をすると全員が、“その管理規約でいいですよ、承認しますよ、”という事になりますから、管理規約原本として発効し、以降そのマンションのバイブルとなります。

本来管理規約は、購入者全員が集まって話し合って、管理規約を作成していくのが望ましいのですが、マンション入居前に見ず知らずの人が一堂に会して話し合って決定するというのは実務上不可能な場合が多いです。
その一方で、入居が開始されたのもかかわらず、管理規約がないと日常のマンションライフにも支障をきたします。
そこで、売主さんや管理受託予定の管理会社さんが長年の経験から管理規約のたたき台=原始管理規約を作って、それを購入者全員に提示し、全員から承認を得ようとしているのです。
全員から承認を得るということは、すなわち全員賛成ですから、総会なんか開かなくても、管理規約として発効することとなります。
入居前に購入者が全員集まって話し合うということが不可能な以上、これはこれで合理的な決定方法です。

以前はこの原始管理規約に売主さんや管理会社さんが、一方的に有利な条項をこっそり忍ばせていたり、というような“悪さ”をしていたことなんかもありましたが、現在ではあまり見かけません。
しかし、“悪さ”とは言えないまでも、もう少し内容を吟味して精度の高い管理規約にすべきものや、或いは売りやすいように作為的にされていて、入居後のことについては重きを置いていないというのは、沢山見受けられます。
特に駐車場や内装リフォームの際の承認の取り方などに中途半端な規定が散見され、駐車場の位置決めなどの利用方法に関しては、早いところでは入居後半年後くらいの時点で利用者間で大揉めに揉めちゃったりします。
売主さんや管理会社さんにはもっと精度の高い、少なくても入居者間で揉めないような生活実態に根差した原始管理規約を提案してほしいものです。

全員が承認し管理規約として発効すれば、それ以降のマンションライフのバイブルになると前述しましたが、一旦管理規約として発効したものを改正しようとすれば多大なエネルギーが必要です。
管理規約の改正は特別決議ですし、改正までには厳格な手続きが求められます。

本日は土曜日です。
世間の皆が休んでいる時に、あまり仕事したくありませんので、管理規約改正手続きに関しては次回に回します。
ご無礼!!!