マンション管理士の独り言・・・380

「規約改正」

前々回・前回と新築マンション購入時の原始管理規約についてつぶやきました。
簡単におさらいすると、マンションの管理規約というのは本来ならばそこに住まうことになる購入者が集まって話し合って決めていくというのが望ましいのですが、入居前に皆さんが集まって話し合う、なんてことはできない場合がほとんどです。
その一方で入居が始まれば当然共用部分の維持管理が開始されますので、何らかの取り決めが必要です。

そこで一般的には、売主さんや管理会社さんが今までのノウハウ・経験を活かした管理規約(これを原始管理規約といいます)を用意して、これに購入者全員の署名捺印を求めます。
このようにして購入者全員から署名捺印をもらえば、つまり全員が「この原始管理規約でいいよ」と承認したことになりますから、管理規約原本として発効することになります。

しかし、早期に完売を目指す売主さんや管理会社さんと、実際にそこで生活される入居者とでは目線が異なるので、原始管理規約では実態にソグワナイということが起こりがちになります。
そこで、管理規約の改正が必要となってきます。
この管理規約改正が今回のつぶやきテーマです。
テーマを以てつぶやくというのも、本来のつぶやくという言葉の意味からするとちょっと変な感じを受けますが、何でもアリの世界、つぶやき主ワールドですから、・・・。

管理規約の改正は、特別決議とされており、総会を開催して、区分所有者の頭数かつ議決権数の4分の3以上の賛成が必要です。
この規定は強行規定なので、“ウチの管理規約は改正しやすいように過半数でOKにしてる”とか反対に“改正しにくいように5分の4にしてる”のどちらもダメです。
4分の3という数字を「上げるのも下げるのも」どちらも無効です。

また、4分の3という数字も区分所有者の頭数かつ議決権総数に対してという事にも注意が必要です。
一般的に行われている決議を普通決議といいますが、これは総会に出席した人の過半数で承認されますが、特別決議は参加者の4分の3ではなくて、総会に何人の人が参加していようが、参加者ではなくて区分所有者の頭数かつ議決権総数に対しての4分の3です。
例えば、100戸のマンションがあって、1人が1戸ずつ所有しているとすると、規約改正は75以上の賛成が必要となります。
ついでに言えば、普通決議の場合は、最小ならば100のうち50人の参加で総会は有効に成立し、その過半数の26の賛成で承認となっちゃいます。

また、規約改正の時は、事前に配布する議案書に、議案の要領も記載する必要があります。平たく言えば、“これまでは、このような規定だったが、今回はこのように改正する”と改正する条文ごとに改正前と改正後の比較表を添付することが求められています。

でも本当に1番大事なのは、何故、改正するのか?改正することで生活がどのように変わるのか?をキチンと知ってもらい、また、改正後はそれをしっかり守ってもらわなきゃ「絵に描いた餅」で終わってしまいます。
そのためにはアンケートを実施したり、勉強会を開催したりなどして、理解を求める活動をしなきゃなりません。
つまり管理組合は汗をかかなくてはなりません。
管理規約の改正はハードル高いっすよ。

結論として、新築マンション分譲時に売主さんや管理会社さんが提示する原始管理規約がこれから『住まう』ことになる、入居者目線になっているかどうかを良く確認する必要があります。