マンション管理士の独り言・・・382

「特徴ある管理規約・・・駐車場編」

前回に続いて管理規約のお話です。
今回は、駐車場の継承についてです。
区分所有者が所有する住戸を売却したとき、あるいは賃貸にしたときに、それまで利用していた駐車区画を、買主や借主が引き続き利用できるかどうかの扱いが大きく分かれます。
継承できるとした管理規約もあれば、継承できずに一旦管理組合に返却し、その後管理組合で使用者を決定するとした管理規約もあります。
このような場合は、標準管理規約では売買と賃貸で分けて考えています。

売買の場合は、売主である区分所有者は区分所有関係から離脱することになりますから、その駐車区画は買主である新区分所有者には継承されずに、一旦管理組合に返却されることとしています。
その後、抽選のような公平なやり方で利用者を決定することとなります。
実務的には、このような場合、先着順として利用者を決定するよりも新区分所有者を含めて抽選としているところが多いようです。

賃貸の場合は、転勤などで一時期第3者へその住戸を貸与するということが考えられます。そして、その区分所有者は転勤が終わればやがてマンションへ戻ってくることも考えられます。
このような視点から標準管理規約では、賃貸の場合は、賃借人に駐車区画が承継できるとしています。

しかし、現実的には売買の場合でも新所有者へ承継できるとした管理規約が多く見られます。
将来自分のマンションを売却するときのことを考えてみてください。
駐車場もそのまま引き継げるとしたほうが、“一旦管理組合に返却してその後の抽選で駐車区画は決まります、検討の段階では駐車区画がまだどこになるのか分かりません”、とするよりも購入希望者が検討しやすいのはいうまでもありません。つまり“売り易い”のです。
また、管理会社や管理組合もこのほうが面倒くさくなくっていいに決まっています。

ですが、この承継できるという方法はトラブルを生みます。
仮に売りに出された住戸の駐車区画が屋根つき平面などの「停めやすい区画」だったりすると、以前からの区分所有者で「停めにくい区画」を利用していて、いずれ空きがでれば場所を変わってほしいと思っていた方から、“自分は昔から住んでいて、前から管理組合に停めやすい駐車区画へ移動したいと申し入れていた。停めやすい区画が空いて、移動できるかもと喜んでいたのに、新参者にそのまま引き継いじゃって、・・そんなの公平じゃないじゃん」となります。

これ以外にも駐車場充足率100%だけど、そのうち軽専用が3台入っているなんて場合も、トラブルの種になります。分譲当初、軽を割り当てられた方は、“ずっと軽区画のままかよ、住戸を売ろうとしても軽区画なら売れないじゃん”、となってしまいます。

新築マンションを購入される方は、将来買ったばかりの住戸を売るなんて考えが及ばないかも知れませんが、駐車場区画についてはいろんなトラブルが生じます。
管理規約をよく読んで、公正性が保たれているかどうかをしっかり確認して購入しましょう。
“良く読んで確認しましょう”、なんて簡単に言いますが、読みこなして確認するなんてフツ~の人ではまず無理です。
そんな時は、つぶやき主へ相談するしかないっしょ!!