マンション管理士の独り言・・・385

「滞納管理費」

最近は管理費や修繕積立金、駐車場使用料などの滞納分を回収してくれ、というご相談が多いです。
直近のデータでも全国の約30%の管理組合でこの滞納問題を抱えているという結果が出ています。
管理組合としては、この滞納分は必ず回収しなければなりません。
理事会なんかで、「滞納を起こしているあの○○さんは、ご主人がリストラで奥さんは病気がちで、その上子沢山。滞納額も大した額じゃないので、免除してあげたら」なんて意見が出ることがあります。

しかし、免除することは現実的にはほとんど不可能ですよ。
免除するには、組合員全員の賛成が必要だと解されています。
全員が賛成するなんてほとんどあり得ません。
だから、管理組合はしっかり回収しなければならないのです。
ほおっておいたら、5年で時効になります。
もし時効になって回収できないという事態にでもなれば、キチンと負担している組合員との間で不公平になります。
また、管理費などを滞納する人を助長することにも成りかねません。
ここは踏ん張りどころです。しっかり回収しましょう。

管理会社任せでも行けませんよ。
管理委託契約で確認すればわかりますが、管理会社が電話や督促状で催促してくれるのは、滞納が始まってから、長いところでも6か月間だけですよ。
6か月経過すれば、もう回収作業は行わなくて良い、ということになっています。
回収すべき最終の責任は管理組合にあるというのが、標準管理規約はじめ国交省の考え方です。

滞納が始まって最初の1~2か月が勝負ですよ。
1年とか2年になっちゃえば、滞納額も何十万円に上りますし、とても一括返済何て無理です。
何年にもわたって返済してもらうことになりますし、その間の管理を行うのも大変です。
「滞納が始まってまだ1~2か月で、滞納額も大したことないから、まだ督促まではしないでおこう」という考えは大きな間違いです。

また、安易に滞納を起こさせないような工夫も必要です。
管理規約を改正して、3か月滞納すれば、管理組合は駐車場契約を一方的に解約できる、とか、訴訟に要する弁護士なんかの費用は滞納者負担とするなんていうのも効果があります。

三萩野の某マンションでは、玄関エントランスの前の掲示板にデカデカと今月の滞納者一覧として、部屋番号と名前が大きく記載されています。
これには驚きましたが、“やるときゃ、やる”、管理組合という姿勢は大事です