マンション管理士の独り言・・・388

「1票の格差」

自民党の圧勝に終わった衆議院選挙。その余韻がまだ冷めやらない時期に弁護士さんグループが1票の格差が2、43倍存在したとして、選挙の無効を求めて提訴しました。
裁判所がどのように判断するのか興味が持たれるところです。
この1票の格差は分譲マンションにも大いに関係あるテーマなのです。
分譲マンションでは、2LDK,3LDK,4LDKなどのタイプがあり、専有面積もいろいろです。
そして、ほとんど全てのマンションで管理費や修繕積立金などは専有面積に応じて負担する事となっています。

仮に50㎡の面積の住戸で管理費が5000円ならば、同じマンション内の150㎡の住戸は15,000円の負担となります。
当然ですが、面積差が3倍あるので管理費などの負担も3倍です。
そしてこのような場合、総会での議決権が、50㎡が1票で150㎡が3票ならば公平だと言えますが、どちらの住戸も同じく1票としているところが多く見られます。
これは不公平です。
負担は3倍もありながら、それに見合う権利は得ていないということになります。

管理費などの負担が専有面積に比例しているマンションで、面積差が2倍以上あり議決権が同じく1票ずつならば、無効だとするのが多数説です。
最近では1,5倍の差でも無効とする考え方も出てきています。
このことが正面から争われた判例はまだないようですが、やがて現れてくると考えられています。

1番公平なのは専有面積に比例して議決権を与える事です。
例えば全住戸の専有面積の合計が10,000㎡だとして、50㎡の住戸は10,000分の50の議決権、150㎡の住戸は10,000分の150の議決権とする事です。
区分所有法では上記のように規定されています。
標準管理規約では、基本は区分所有法通りとしていますが、面積差に「あまり差がない場合」は同じく1票ずつでも良いとしています。
この「あまり差がない場合」と言うのが面積差2倍以内を想定していると考えられています。

区分所有法の通り面積に比例させると、実際の現場では例題のように10000分の50なんて切りのいい数字にはなりませんから、総会では電卓片手で賛成数をカウントすることになり大変です。
しかし、公平性を確保するためにはこれくらいの努力は必要です。

北九州のマンションは、判で押したように、面積差は関係なく同じく1票としているところがほとんどです。
原始管理規約を作成する売主や管理会社はもっと勉強し、工夫が必要です。
また、区分所有者ももっと負担と義務と、そして権利について考えなきゃ、・・・