マンション管理士の独り言・・・389

「憲法改正」

先の衆議院選挙で自民党が大勝した事により憲法改正論議が盛んに行われています。
憲法を改正するには、衆議院と参議院でそれぞれ3分の2以上の賛成で、国会が発議し、国民投票にかけて、過半数の承認を得なければならないようです。
巷では、やれ国防軍だの何のかんのと言っていますが、改正までのハードルが高い事をわかって言っているのでしょうか?
合意形成がどれだけ難しいのか、わかっているのでしょうか?
各院それぞれで3分の2以上の賛成を得るというのはとても難しい事です。
更にその上に、国民投票で過半数ですよ。
マンション管理組合総会で3分の2という決議要件はありませんが、議案によっては過半数を得るのさえとても大変です。

改憲派の方々は、「日本国憲法は戦後アメリカに押しつけられたもので、民主国家なんだから自主性を持って自国の意思を反映した憲法へ変えるべきだ」と言います。
この辺りの憲法成立の経緯はマンション管理規約の発効までのプロセスとそっくりです。

マンションも当初はそこに住まう事になる区分所有者の意見なんて全く考慮されず、売主や管理会社の経験とか意思なんかで作成された原始管理規約がそのまま管理規約原本として発効します。
読んでもいないのに署名捺印した区分所有者もどうかとは思いますが、発効された管理規約にしばられ、後から“これちょっとまずいんじゃない”と改正しようと思っても、区分所有者の4分の3の賛成が必要です。
そんなに簡単に改正出来るものではありません。
簡単に改正出来る規定もあるにはありますが、そんなのは区分所有者から見ればあまり関心のない小さな議案ばかりです。
管理費や修繕積立金の値上げや、駐車場区画の選定方法を変えるなんて生活に直結するような重要議案はそう簡単に4分の3なんて得られません。

合意形成の難しさは、実務経験のあるマンション管理士や管理会社のフロントマンならよく分かっていることです。
否決されるたびに、“そもそも法治国家の根幹である憲法を改正するのが3分の2で、何でマンション管理規約の改正が4分の3なのか”、なんて思ってしまいます。

国会議員の先生方は大変ですよ。
3分の2の賛成を得るためには、かなりのエネルギーを使わなきゃ、ですよ。
それをクリアしても国民投票で過半数の賛成が待っていますよ。
丁寧な議論と多くの資料作成、そして分かり言葉で訴えなきゃ、賛成派得られませんよ。それでもどうしても憲法改正を実施したいのなら、その方法を偉そうにマンション管理士が教えちゃいます。
マンションに住んでいる国会議員の先生は、理事長を2年くらいやってみてください。
そこで理事会の進め方、議案の作成・提出方法や合意形成のイロハを学んで下さい。
イイ勉強になりますよ。

そんなに時間かけられない、もっと手っとり早い方法をお探しならば、・・・
それは実務経験たっぷりのマンション管理士とフロントマンに合意形成の道筋を指南してもらうことでしょうね。

誰かが言っていました。マンションは最小の民主主義の実践の場だって。