マンション管理士の独り言・・・390

「騒音問題・・・①」

マンションという居住形態は一つの大きな建物を区切って売り(分譲)、多くの世帯がそこに住まうというものです。
ですから、壁一つ向こうには違う世帯の方がお住まいになっています。
上下左右みんな異なる世帯です。
そして特に階下との間で騒音トラブルが発生しやすくなります。

これが2階建ての一戸住宅ならば、上で子供たちが遅くまで騒いでいたら、「こらっ!やかましいぞ!いつまで騒いでる。早く寝ろ」なんて怖いお父さんの雷で一件落着です。
しかし、マンションではそうはいきません。
「上の子が騒いでいる。飛び跳ねているようだけど、元気そうでいい」なんていう人はいません。
「いつまで走り回ってる。うるさくて眠れない。親はどんなしつけ方をしてる」と思うのが関の山です。

そして、我慢できずにこの状況を何とかしてほしいと訴えることになります。
訴えると言ったって、上階の方に面と向かってはなかなか言えないので、最初は管理会社や管理員さんということになります。

これを受けた管理会社は、“どこの住戸が騒がしい”なんて住戸を特定することはせずに、当たり障りのない、「当マンションは集合住宅です。下の方の迷惑にならないように、騒音を発生させないように、特にお子様の飛び跳ねには注意しましょう」なんて掲示をします。
売主や管理会社の中には、最初から「騒音トラブルについては売主・管理会社は関係ないので、当事者同士で話し合って解決してください」と規定しているところだってあるほどです。感心しませんけど・・・。

でもこの掲示物では効果がありません。掲示してほんの数日は効果がある場合もありますが、すぐにもとの騒音に戻ります。
階下の方の再三によるクレームで、ついには管理員さんが騒音源である上階の方へ注意に行きます。
初めは「そうですか。気を付けます。」ですが、やがて「うちじゃないですよ。注意されてから飛び跳ねはさせていません」そして「階下の方が過敏すぎるんじゃない」「管理会社さんなんかに相談せずに、直接言ってくれればいいのに」なんてことにもなります。
こうなれば管理会社や管理員さんではもうお手上げです。
管理会社は、雇ってもらっている立場上あまり強くは言えません。

我慢しきれなくなった上階の方は最終的には下階の方へ直談判、となります。
しかし、これでも解決しません。
上階の方と下階の方とで精神的なわだかまりが残るだけの結果となります。
あとは、上階のお子さんが中学生くらいになるまで待つしかないのか・・・。

この間上階の方は、管理会社や理事会に対して、「何もやってくれないじゃん」と思うようになり、これが高じれば管理費の滞納や、共通のルールを守らないというようなアンチ管理組合人間となっていきます。
このような方が一人でも出ると管理組合活動や総会がスムーズに流れませんし、皆が嫌がって理事長などを引き受けなくなります。

では、どうすればよいか?
騒音問題は、客観的な事実が必要です。
上階がうるさいならば、感覚的な訴えでは不十分です。
「お宅は20時から24時までの間、○○デシベルの騒音を何度発生させています。これは、階下の方の受忍限度を超えています。この間○○デシベルの音を何度までしか発生させてはいけません。」という事実を示します。
反対に、「上階はこの間○○デシベルの音はほとんど発生させていません。お宅が過敏すぎるのでは」と階下の方をたしなめる事だってあり得ます。

騒音を感情論や、個人差のせい感覚論で片付けずに、客観的事実に基づいて判断することが大切です。

では、どうするか、については近い将来気が向けばつぶやきます。