マンション管理士の独り言・・・399

「近隣の建築予定」

マンションというのは、便利のいい場所にあってこそマンションで、「郊外型マンション」というのは厳密に言うとマンションではないのでは、と思っています。
そして便利のいい場所にあり、しかもその場所が商業地域や、あるいは近隣商業地域だったりすると、お隣に大きな建物が建っちゃったりしちゃいます。
ですから、マンションを選ぶときには、隣接して大きな1団の土地があるかどうかも重要なポイントになります。

しかし、例えば「ザハウス大手町プレミアム」のように分譲当初から隣に2期目の分譲マンションが建ちますよ、と公にしている物件もあります。
そこで「ザハウス大手町プレミアム」のような1期を買われる方は2期の建物が何階建てなのか、今検討している部屋はのぞかれないのか、なんていうことを考慮することとなります。
“2期の建物が10階建てだから、11階の住戸を購入した、”なんて言う具合です。
このような話を良く耳にします。
隣に建つ建物が自分が購入しようとする部屋からどのように見えるのかを考慮しているのです。正解です。

しかし残念ながらこれだけでは十分じゃありません。

竣工後の事だけではなく、工事中の事も考慮しなければならないのです。
工事中には騒音や振動、ホコリ、粉じんや、さらには大型の工事用車両が通行することの危険性も併せて考えなければいけません。
仮に14階建ての建物ならばおおよそ2年の工事期間が必要です。
ましてやその建物が今はやりの免震工法だったりすると、地盤を6mくらい掘り下げなきゃいけませんから、規模にもよりますが、残土排出だけでも10tダンプカー最低300台以上が、近くの道を行ったり来たりすることとなります。
もしそこが通学路だったりすると安全面の確保することが何より大事です。
ですから通常は管理組合として、ダンプカーは1日何台までしか通っちゃいけない、警備員をどことどこの計何か所に配置する、通学時間帯は通行しちゃダメ、みたいな申し入れを行います。

ダンプカーだけじゃありません。
生コン打ちの時は、100台くらいのミキサー車が朝から夜遅くまで引っ切り無しに通行します。
これに対しても、管理組合としてこうしてほしい、と言う要望を出しておく必要があります。

また、隣の建物工事によって、こちらの建物に被害が生じないかを事前事後でサンプル調査しておくことも必要です。
特に外壁タイルなどは剥離の恐れがありますから、事前事後とキチンと調査しなければなりません。

こんなことは、別に法律にも条例にも規定されていませんから、管理組合が主体性を持って行動しなければ、隣の建物の施主や、ましてや役所は何も動いてくれませんよ。
ここで問題となってくるのが、こちらの建物が竣工したばかりでまだ管理組合さえキチンと機能していない状態の場合にだれが住民を代表して物申してくれるのかと言えば、それは管理会社さんとなります。

隣に建物が建設されることが予め分かった物件を購入するときは、隣の建物が何階建てで、自分の部屋がその建物からどのような目線になるのかということを考慮しなければならないのは勿論ですが、建築途中の騒音や振動、ホコリ、粉じん、工事車両の通行などにキチンと物申すことができる体制が出来ているのかにも目を配る必要がありますよ。