マンション管理士の独り言・・・402

「理事長のお仕事」

そろそろ総会の季節がやってきました。
決算案、予算案、各種報告事項、議案などの作成準備に取り掛からなければならない時期です。
そして役員改選も大事な事柄です。
最近は輪番制の管理組合さんが多いので、そんなに大変じゃないでしょうが、新役員の方には「次期はあなたが役員ですよ」くらいの念押しはしておくほうが無難でしょう。

そして新しい役員さんの話し合いで役職が決まっていきます。
みんながやりたがるのは、副理事長と監事で、こちらはスンナリと決まりますが、理事長はなかなか決まりません。流石に皆さん良くわかっていらっしゃる。
他の役員さんに比べて理事長さんは結構ハードな役割です。
理事会や総会の招集権者ですし、多くの書類に目を通し、決済印を押さなければなりません。

そんな役割の中、どの理事長さんでも敬遠したがるのが、管理費滞納者へ対する督促作業です。
管理費などを滞納した組合員へ、「お宅は○○円滞納しているから支払ってよ。」と督促しなきゃなりません。
管理会社へ委託している管理組合さんでも最終的な回収義務は管理組合にあるとされていますので、理事長さんが中心となって回収に努めなければなりません。
でも滞納者が仮にお隣の方だったり、子供同士が小学校の同級生だったりすると、なかなか督促も出来るものじゃありません。

そんなこんなで、「つぶやき主さん督促してよ」っていうお仕事が持ち込まれます。
もう何度も行った作業なので要領もわかっています。
夜討ち朝駆けで回収作業を行いますが、これには理事長さんのご協力が必要です。

マンション管理士とはいえ、そのマンション管理組合の組合員ではありませんから、理事長や理事会からの委任が必要です。
滞納者に、「役員でもないのにどういう立場で督促すんの?」って聞かれてもいいように委任状作成は必須です。

また、時効中断のために、“債務確認書”みたいなものも作成します。
「私は本日現在管理組合に対して○○円の滞納があります」ということを確認してもらう書面に署名捺印をいただくのです。
さらには、「このように支払います」ということで折り合えば、支払履行誓約書みたいなものも作成します。

この委任状や債務確認書、支払履行誓約書などの発行者やあて先は、理事長になります。加えてもし話し合いが整わず支払い督促や少額訴訟になると、原告は○○マンション管理組合理事長○○○○となります。
要するにいろんな場面で、いろんな形で理事長の名前が出てきます。

ところがこれらの書面に自分の名前がでることを嫌がる理事長さんが多く、困ってしまいます。
曰く「まだ子供が小さいのに名前が出ることで変な恨みを買いたくない」「車を傷つけられるかもしれない」「今までの理事長が何もしてなかったのに、何で私の順番の時に訴訟なんておこすの?次の理事長さんの時にやってよ」という調子です。

こっちは滞納者への説得やアプローチで大変なのに、依頼者である理事長さんの説得までしなきゃならない羽目になってしまいます。
理事長になられる方は、すき好んで理事長になるわけじゃないのは良くわかりますが、理事長としての役割や任務を認識してもらえたらなって感じています。