マンション管理士の独り言・・・410

「どっち向いて仕事してんだよ!」

もうかれこれ1年お世話している管理組合さんのお話です。
8階建て30戸、築4年とまだ新しいマンションで、売主の子会社の管理会社さんが管理を受託しています。
分譲当初から、管理規約がちょっと変、フロントマンの動きが悪い、理事会さえ開催されない→何かオカシイちゃない、と1部の理事の方が考え始めご相談がありました。
早速理事会を開催するように設定し、つぶやき主も参加しました。
理事会は開催しない、月に一度の収支報告も行われていない、総会招集も規約通りの手順を踏んでいない、管理を受託する前に義務付けられている重要事項説明さえ行われていないという有様でした。

しかし、「カッパえびせんマンション管理士」(1度その知識、経験に触れると以降もずっとお世話してくださいと頼まれちゃいます、という意味)ですから、総会で顧問契約をいただき、その後ずっとお世話してきました。
現在では当初に比べ、管理状態は見違えるように良くなってきています。
管理会社さんも適法・適性・迅速に対応するようになり、いろんな管理会社を見てきているつぶやき主でさえ、「この管理会社さんは、イイ」と思えてきたほどです。

しかし、最近そんなつぶやき主の気持ちを根底から覆すような対応がありました。
8階の居住者から「壁にひびが入っているようで、クロスがねじれている」とのクレームが入りました。

管理会社のフロントマンが現地確認をするというのでつぶやき主も立ち会いました。
その壁は、隣の住戸とを間仕切っている壁で勿論コンクリート製です。
そのコンクリートに直接クロスを貼っているという仕上げで、それほどではないものの、明らかにひび割れ(クラック)が見受けられます。

フロントマンがどのような返事をするかな、と思っていたところ、「しばらく様子を見てください。もしひび割れが大きくなるようでしたら、ご連絡ください」です。
「えっ!」呆れちゃいました。
構造躯体であるコンクリート壁にクロスをねじるようなひびが入っているのです。
しかも建築の専門家でもないフロントマンが、「しばらく様子を見ましょう」はないでしょう。
つぶやき主が、「そんな対応じゃダメっしょ。建築士を連れてきて、現地確認しなきゃ。クロスを剥いでクラックの幅や大きさを確認し、必要ならば壁の反対側の住戸にも入れてもらって確認しなきゃ、でしょ」と指摘したので、この住戸の持ち主さんも安堵していました。
「つぶやき主さんがいなきゃ、言葉だけで丸め込まれてました。有難うございました」なんてお礼まで言われちゃいました。
フロントマンからは「わかりました。売主にそのように伝え、手配します」との返事です。「建築士さんが現地確認するときはつぶやき主も立ち会いますので、実施日が決まったら教えてくださいね」ということで、その場はお開きです。

その後いつまで経っても連絡ありません。
そして1カ月が経過しました。
あまりに遅いので、1か月後にその住戸所有者さんのお会いした時に「もう建築士さんは来たのですか?」と来てみたら、建築士どころかフロントマンからも何の連絡もないとの事です。
「ヘ、ウンガッ」です。今度は呆れて言葉になりません。
フロントマンに確認すると、まだ売主にさえ報告していないとのことです。
「ふざけるな、オメ~」です。
今週中に売主へ報告し、その結果を住戸所有者さんと理事長へ報告するようにきつく言い渡しました。さすがに今度は大丈夫でしょう。

この件で思う事は、フロントマンは決して忘れていたわけじゃないはずです。
売主へ報告しても、「そんなことはそっちで何とかしろ」って言われるのが関の山なので、何とか処理しようと考えたけど、“住戸所有者さんだけなら何とか誤魔化せてもつぶやき主がいるからな”なんて逡巡していたのだと思います。
「売主さんは親会社だし、今後もマンション造るたびに黙っていても管理をもらえるし」です。

「ふざけるな、オメ~」と言った後に、「あなたは管理組合と売主とどっち向いて仕事してんの?管理組合さんからお金もらって仕事してんでしょ。管理組合の利益のために仕事しなきゃ」と冷静に諭すようにお話したことを付け加えます。
つぶやき主は、頭に血が上ると前後の見境なく汚い言葉を使うただのオッサンじゃありません。・・・のつもりです。