マンション管理士の独り言・・・414

「3月末に引き渡しが多い理由」

3月は新築マンションの引き渡し~引っ越しのピークです。
この期間の土日で、しかも大安なんかが重なると引っ越し費用も随分と割高になります。

どうして3月に引き渡しが多いかというと、“新しい学校へは新年度から通えますよ”なんて営業マンは言うのでしょうが、それも全くないわけじゃないですが、本音を言えば、“会社の年度決済が3月末なので何としても3月末には引き渡しを受けてもらわなきゃ”です。
マンションの売り上げが計上できるのは、申し込み時でなく、契約時でもなく、引き渡し時(代金全額入金時=決済時)なのです。
3月31日と4月1日では暦の上では1日の違いですが、デベロッパーさんには大きな違いがあるのです。
特に上場しているような大手のデベロッパーや、上場会社の子会社や関連会社で連結決算の対象となるデベロッパーにとっては、株価に大きく影響しますので、3月末引き渡しに血眼になります。

ですから、少々工期が窮屈でも何としても3月引き渡しすることを工事施工するゼネコンさんに厳命します。
ゼネコンさんも何とか間に合うだろうと受注するのですが、消費税前の駆け込み受注による工事が多くなり、また東日本大震災の復旧工事で職人さんが東北の方へ駆り出されているので、手が足りず、「こんな状態で内覧会すんのかよ」となってしまいます。
設計会社も知らんぷりはいけません。
設計~監理までが業務に入っているはずですから、キチンと工事監理して、是が非でも3月末引き渡しに無理があると思った時は、デベロッパーさんに助言しなきゃです。
つぶやき主は、分譲開始時の物件概要を見ただけで、「工期が足らないな。こりゃ内覧会に間に合うかな?引き渡し時に揉めなきゃいいが」なんて思っていました。

でも、デベロッパーのほうから「3月末の引き渡しには間に合いそうもありません。震災の影響などで職人さんの手が足りません。引き渡しが当初予定より2か月ずれます」なんて言うのを聞いたことがありません。
契約書には、正当な理由があれば書面による“遅れちゃいます”通知で引き渡しを遅らせることが出来るし、またそのことで買主は異議を言えないこととなっています。

そーすりゃ、いいのに。

買主さんだって窮屈な工期で造られたものより、少々遅れたとしても適正な工期でキチンとした工事で仕上げられたもので引き渡しされる方がよっぽどいいに決まっています。
デベロッパーの理論で“何が何でも3月引き渡し物件”で、泣いているのはゼネコンさん、職人さんだってそうです。“もう少し時間くれれば満足のいく仕事が出来たのに”
そして何より泣いているのが、購入者です。

顧客満足も泣いています・・・。