マンション管理士の独り言・・・416

「独裁できない仕組み」

総会の季節です。
1、今期の活動報告および決算報告 2、監事報告 3、次期の活動計画および予算案 4、新役員選出 たったこれだけの議案じゃダメですよ。
折角年に1度組合員が顔を合わせる機会ですから、もっと有意義な話し合いとなるような議案にしなきゃです。

そして総会では多くの議案が普通決議により承認されていきます。
普通決議と言うのは有効に開催された総会でその出席者の過半数の賛成で承認されるというものです。
では、問題です。
もしここで1人の人が多くの住戸を所有していたらどうなるでしょう?
仮に10戸のマンションで各住戸の面積差もそれほどないので、議決権は10としましょう。
しかしそのうちのAさんが一人で6戸を所有しています。
Aさんが反対すれば過半数には届きませんから、何も決まりません。
また、逆にAさんは一人で過半数の議決権を持っていますので、Aさんは一人で何でも決められちゃう、ということにもなりかねません。
独裁者Aさんの登場です。

しかしこれでは民主的ではありません。
このようなことがおこり得ることを想定して区分所有法や管理規約は工夫されています。
議決権総数のほかに区分所有者の頭数というのも議案承認の要件となっています。
上記のマンションを例にすると、10戸住戸で面積差もそれほどないから、10議決権。10戸のうちAさんが6戸を所有しているが残りの4戸はそれぞれ1人で1戸所有しているから、区分所有者の頭数はAさん+4人の合計5人となります。
普通決議の場合は、議決権総数に加えて区分所有者数も過半数ということが要件となっています。
したがって、Aさんが「この議案を通して自分の利益にしよう」としても、確かに議決権総数ではAさん一人が賛成すれば過半数を超しますが、区分所有者数の過半数を満たすことが出来ません。
区分所有者数は5人ですから承認のためには3人が賛成しなければならず、Aさん一人では2名足りないこととなります。
この程度の事はご存知でしたよね。
知らなくても住めるってとこがマンションのいいとこなのかな・・・。