マンション管理士の独り言・・・418

「長~い、お付き合い」

最近エレベーターについて勉強しています。
分譲マンションには、まず間違いなくエレベーターが設置されています。
でも設置されているエレベーターは、マンション区分所有者が、“○○エレベーターにしよう”とか、“△△エレベーターの方が良さげジャン”なんて話し合って決めるわけじゃありません。
分譲当初から設置されてしまっています。

どこのエレベーターにするかの決定権は第1番に売主デベロッパーが持っています。
売主が“別に。どこのでもいいよ”となれば続いて設計会社が決めちゃいます。
設計会社も、“どこでもヨカデスばい”となれば施工ゼネコンさんが決定することとなります。
ゼネコンさんが決定するとなれば、いろんなメーカーさんから見積もりを取りますので、竣工間際までどこのエレベーターになるのか決まっていないなんてことも良くあります。ためしにマンション販売センターに行って、「どこのエレベーターが付くの?」って聞いてみてください。
営業マンからは「まだ決まってないみたいです」って返答がある事がしばしばです。

そして一旦○○エレベーターが設置されると、保守メンテナンスもその○○社の関連会社が請け負うことになっています。初めからそうなっています。
保守メンテナンスの方法にはフルメンテナンスとPOGといって、“パーツ、オイル、グリースの取り換えは無料だけどそれ以外の部品の取り換えは費用が発生しますよ”という2種類があります。
当然フルメンテナンスの方が高いに決まっています。
市内の新規分譲マンションでは、6:4くらいの割合でフルメンテナンスの方が多いかなっ、て感じです。
そして、同じ○○社のエレベーターでも、マンションによってメンテナンス費用が違います。もっと細かく言えば、同じ売主であって、さほど竣工時期が違わないマンションでさえ、メンテナンス費用が微妙に異なります。

そしてここから長~いお付き合いが始まります。
別に長~くお付き合いしなくてもいいのですが、管理費の見直しとか、経費削減なんてことが理事会で議論されちゃいだすと、エレベーターの保守メンテナンスの見直しも検討されることとなります。
今は保守メンテナンスもメーカー系ではなくて独立系のメンテ会社もありますし、やっぱり断然安い。
捜せばそれまでの半額くらいでやってくれるところも見つかるかもれません。
しかし、メーカー系神話というのが根強くあって、「少し値引きしてもらって今まで通りとしましょう。メーカー系の方が安心だわ」ってなることが多いようです。
そして、○○社は引き続きエレベーターの保守メンテナンスを行いますが、最近では大規模修繕工事にも進出してきています。
その殺し文句が、「こちらのマンションにはうちのエレベーターが設置されていますので、うちはもし大規模修繕工事で不手際があっても、逃げるわけにはいきませんから安心です」です。上手な仕組みが出来上がっています。
かくして長~いお付き合いとなります。

髪は長~いお付き合い、といいますが、そちらの方は短い付き合いで終わってしまいました。