マンション管理士の独り言・・・423

「代理人の要件」

これから5月末にかけて総会の時期です。
せっせと議案作りに励んでいる理事会さんも多いことでしょう。
管理会社さん任せじゃダメですよ。
折角年に1度、組合員が顔を合わせる場ですよ。
マンションに実情に合わせた、少しでも住みやすくなるような議案を作成しましょう。

そして、議案には委任状が添付されます。
総会当日都合が悪くて出席できない組合員が他の信頼おける人を代理人として委任します。この代理人の要件は組合ごと管理規約によって異なります。
ほとんどのマンションの管理規約は標準管理規約に準拠していると思いますが、代理人の要件に関しては、標準管理規約でも扱いがコロッコロと変わります。
平成16年改正分では代理人の要件を①その住戸の同居人 ②その住戸を借り受けた人 ③他の組合員(この規定があるので、理事長に委任できちゃいます) ④他の組合員と同居するもの、の4者に限定していました。
ところが平成23年の改正で、代理人要件を撤廃しちゃいました。

これは“誰でもいいよ”ではなく、“そのマンションの実情に合わせてマンションごとに決めてよ”というものです。
しかしまだ多くのマンションでは、16年改正分が主流を占めています。
しつこいようですが、平成16年分では代理人の要件を上記①~④に限定しているのです。反対に言えば、①~④以外は代理人とはなれません。
仮に“つぶやき主はマンションに詳しそうだからつぶやき主に委任する”なんていうことも出来ません。
管理規約で代理人の要件を定めていれば、その要件に当てはまらない人はいくらマンションに詳しくたって代理人とは成れないのです。

ところが、これを知らない方が多く、その限定されている人以外の方が○○さんの委任状を持ってきて総会に参加し大きな声で発言することがあります。
この勘違いで多いのが、空き住戸を管理している不動産屋さんです。
管理していたって組合員じゃありませんし、ましては上記①~④にも該当しないので代理人とはなれません。
一般の組合員も不動産についての専門家である不動産屋さんが「わしは○○さんの代理人じゃ。委任状もほれ、このとおり」なんていうと正当な代理人と信じちゃいます。
そして、空き部屋状態を何とか解消しようと、見てくれを少しでも良くしようと、最新の設備を導入しようとして、大規模修繕や設備のリニューアル工事を働きかけます。
場合によれば、「安くて信用できる工事業者を紹介しよう」なんて言い出す始末です。
管理会社さんも、こんな初歩の初歩を知らなかったりするので、困っちゃいます。

総会は、管理組合の意思を決める場所で、事業計画や予算を審議するところです。キチンと規約に基づいて、開催されなければなりません。

本当は総会とはこの様な手順で、議事進行はこの様に行うんだ、ということを知りたい方はお問い合わせを。
お問い合わせを、と言いながら、問い合わせがないほうに1,000円!