マンション管理士の独り言・・・433

「理事長のお仕事」

総会の季節です。そして新しい役員さんが続々誕生しています。
役員さんの中でも理事長さんは「長」が冠に付くだけに、一番重要で、大切でそして重責のある役割です。
思いつくだけでも、総会や理事会の招集権者で、しかも議長さん。
議事録署名人でもありますし、理事会には必ず出席しなきゃ、です。
それ以外にも管理会社との打ち合わせや、組合員からのクレームにも中心になって対応しなくちゃいけません。
つぶやき主はマンションの専門家ですし、それが商売ですから雇われ理事長なんてやっていますが、お仕事をお持ちの方はそりゃ、大変だと思います。

そんな理事長さんの役割ですが、一つ忘れてならないのが、訴訟を提起するときの原告になっちゃうってことです。
身近なところでは、管理費などの滞納者に対して少額訴訟や、支払い督促を提起する際の原告になりますし、訴状にはしっかりと理事長さんの名前が記載されます。

ところが、これを嫌がる理事長さんが多いのには困ってしまいます。
「同じマンションに住んでいる人を訴えるなんて嫌だ。ましてや原告に何てなりたくない」「被告の人の反感を買って、子供がイジメラレルかもしれない」
「車が傷つけられちゃうかも」云々・・・。
そして、「自分が理事長の時にはやりたくないから、次の理事長さんに頼んでみて」となります。
そしてまたまた、次の理事長さんも「今までの理事長さんが嫌がって訴訟を起こさなかったのに、何で自分の代でやんなきゃなんないの」と言われちゃいまして、延々と滞納は続いていきます。

こんな時に“副理事長さんが理事長さんの代わりに原告になって訴訟を起こせばいいじゃん”と言う方がいますが、なかなかそう上手くはいきません。
副理事長さんの役割というのは理事長さんが例えば病気などでその職務を遂行できなくなった時に初めて、理事長さんの代わりに業務を遂行することしかできません。
理事長さんが職務を全うできる状態なのに、副理事長さんが理事長さんの代わりを務めることはできません。
また、これら訴訟を提起できるのは管理者(=理事長)に限られていますので、どうしても訴訟を起こすのならば、理事長さんを解任して、副理事長さんが理事長さんになってから、という手続きを経なければなりません。

「そんな人が理事長さんになるなよ、選ぶなよ。」と言いたくなりますが、順番で決まったり、ジャンケンで負けたから仕方なく理事長さんをやっている人にあまり強く言えないし・・・。
せめてそんな理事長さんは、マンション管理士を雇うくらいのことは考えてもいいんじゃないっすか?
そうでないと、来年の総会の折に、この1年で滞納管理費が全然解消できていなくて、それどころか滞納額が増えていたりすると、批難ごうごうで総会乗り切れませんよ。

滞納分を解消するために訴訟は起こさなかったけど、専門家を雇って回収に努めました、ってくらいはしとかなきゃ、です。