マンション管理士の独り言・・・448

「行方不明者」

分譲マンションで所有する住戸を空き家にしたままの行方不明者がでると大変です。
区分所有者は、所有する住戸(=専有部分)に住んでいようがいまいが、人に貸していようがいまいが、その住戸が借り手がいようが空家だろうが、そんなことにはお構いなしに管理費・修繕積立金は負担しなければなりません。
そして転勤などでその住戸を離れるときには、転勤先や連絡の取れる電話番号などを管理組合に届け出るようになっていますが、これが守られていないケースが多々あります。
その住戸に住んでいても入居届を出さない人だっているほどです。
知らないうちに転居してしまって空き家になり、しばらくは「売家」「入居者募集」もしていましたが、借り手もないため、もうずっと長いこと誰も住んでいないという状態が続きます。

やがて、管理費などの滞納が始まります。
管理組合に転居先や連絡先の届け出もないため、管理組合はどうしようもありません。
それでも何とかしようと、高いお金を払って弁護士に住所を突き止めることを依頼しますが、いかに弁護士先生でも、もう何年にもさかのぼっての調査は出来ず、居所を突き止められないことがほとんどです。
警察にも行ってみました。
延々と説明し、ようやく理解してもらいましたが、基本的には無理との事です。
居所を突き止められるかどうか分からないし、運よく分かったとしても個人情報でもあるし居所を教えることはできません、との至極当たり前の回答です。

連絡がつけば、管理組合として売るなり貸すなりのお手伝いもできるし、場合によれば管理組合が買い取って集会所みたいな使い方だってできるのですが、連絡の取りようがないのでお手上げです。
私有財産ですから、役所は何にもしてくれません。
永遠にその行方不明者の所有物です。
その行方不明者が亡くなれば相続人が相続するだけで、これが永遠に繰り返されそのうち、誰が所有者なのか、わかんなくなりそうです。

これが、もし人に貸せる住戸だったり売れる住戸ならば、相続人も相続してくれるのでしょうが、売れない貸せない、しかも包括承継人(=相続人)として管理費の滞納分まで引き継がなきゃなんあい、となれば“知らぬ存ぜぬ”もしくは相続放棄するに決まってます。
そうなれば管理組合はいよいよどうしようもなくなります。

「転居しても管理費などは負担しなきゃなんないけど、それ以上に高い家賃が期待できる、売ろうと思えばそこそこのお金で売れる、そのためには管理組合と良好な関係でいたいから転居先や連絡先も報告しとかなきゃ」というように思ってもらえるような管理を日頃から行っていく必要があります。

北九州のマンション事情ですが・・・、先が思いやられます。