マンション管理士の独り言・・・451

「民法、品確法、瑕疵担保履行法などについてのお話 その2」

隠れた瑕疵は民法では、それを知ってから1年間が瑕疵担保責任期間ですが、売主が宅建業法の場合には、宅建業法により「引き渡し後2年間」となります。
さらに、品確法により“構造上主要な部分”や“雨水の侵入を妨げる部分”については、建物竣工後10年間が責任期間となります。というのが、前回のおさらいです。

でも頭のいい人が考えました。“確かに品確法によって建物の構造上主要な部分などは10年間の瑕疵担保責任期間となり消費者に手厚くなったけど、もし売主である宅建業者がつぶれちゃったら、おしまいじゃん”です。

そこで、平成21年10月に「住宅瑕疵担保履行法」が施行されました。
建物竣工後10年間“建物の主要構造部”などに対して瑕疵保証しなければならない宅建業者は、その10年間のうちに会社がつぶれても購入者に迷惑かからないように、予め保証協会に加入しなければならない、としました。
これによりもし10年間の瑕疵保証に期間に売主宅建業者がつぶれても、その損害について保証協会から補償されることとなりました。

前回からここまでの話を聞くと、“いいじゃん。消費者に手厚くなってるじゃん”なのですが、やはり物事そう上手くはいきません。

今お世話している管理組合さんでは、築後3年で開放廊下天井から雨漏りがします。
売主宅建業者さんはまだ現存しますから、「直してよ」ってことになりますが、2年間を過ぎていますから宅建業法の瑕疵担保責任期間は過ぎちゃっています。
それなら、“品確法の10年を使うべ”と調べましたが、開放廊下天井は「雨水の侵入を妨げる部分」には該当しません。開放廊下天井と言うのは天井ですが上階から見れば床ですので「構造上主要な部分」に該当します。
でもちょっぴりの漏水が瑕疵と言えるかどうかはわかりません。
当事者同士で話し合って決めてください。と言われちゃいました。
誰に言われたかって言えば、県の建築課の宅建係の偉い人です。
結局は売り主次第かよ・・・って。

もうひとつの管理組合さんでは給水ポンプの設置ミスでたびたび断水します。
もう5年経過しているマンションですから宅建業法の2年間の瑕疵保証期間はとっくに過ぎていますし、ポンプの設置は品確法の適用外なのはつぶやき主にだってわかります。
2つの管理組合さんは残念ながら自費で補修するようなストーリーになりそうです。

瑕疵については引き渡し後2年間と言うのは、かなり購入者には酷なハードルです。
特にマンション購入者からすれば、専有部分ならいざ知らず、共用部分の瑕疵なんて引き渡し後2年のうちに探し出すなんて至難の業です。
専有部分と共用部分の瑕疵保証期間を一緒くたに引き渡し後2年間とするのでなく、共用部分についてはもっと瑕疵保証期間を長くしなきゃ、というのが現場の意見です。