マンション管理士の独り言・・・456

「契約事務手数料」

新築マンション購入の折に、「契約事務手数料」を買主から徴収する売主と徴収しない売主とがあります。多くは52,500円です。

売主が直接販売せず、販売代理会社が販売している場合はほとんどすべて徴収しているようです。
徴収することは不動産業界の慣例でもありませんし、ましてや宅建業法で認められているものでもありません。
「私的自治の原則」あるいは「契約自由の原則」とも言われ、売主買主など当事者双方が“それでよい”と合意すれば公序良俗に反しない限り有効となっちゃいます。

購入者がその物件を購入するのに銀行ローンを利用し、その手続きを販売会社に依頼する場合は、販売会社からすれば現金客に比べて手間ひまかかりますので、銀行ローン利用の場合だけ事務手数料を徴収するというのは、合理性あると思いますが、銀行ローンを利用しない現金客からも契約事務手数料を徴収します。
ローン利用の場合は更に21,000円追加で徴収されちゃったりします。

販売会社は販売する事=契約すること=契約手続きを売主から請け負っていて、その対価として販売手数料を売主から得ているのに、更に買主(契約者)からも徴収するのは納得が出来ません。

リビオ桃園パークフィールズがそうでした。
ご丁寧に契約書には売主から授権された代理権の範囲が事細かに記載されていて、そこには契約締結行為とハッキリと明記されています。
契約締結行為を売主から依頼され、その業務の対価として販売手数料を得ているのに更に買主(契約者)から徴収するようになっています。
これにつぶやき主が噛みつきました。販売会社のダックスさんともかなりやりあいました。“これはおかしかろうもん。宅建業法にも違反するんじゃないの?全員に返金してあげてよ”これに対してダックスさんは、“重要事項説明の折に説明しているし、契約書にもキチンと明記している。お客様も納得の上です。”と険悪な雰囲気のままの平行線です。

福岡県宅建指導課へも問い合わせました。
宅建指導課ではダックスさんへもヒアリングし、過去の判例まで調べてくれましたが、結果「好ましくないけれど、私的自治の原則から買主さんがそれで納得されているなら有効とならざるを得ない」ということでした。
そして現在分譲中のリビオ一枝学園並木通りでも、同じ販売会社が販売するようなので、このやり方を踏襲するのでしょう。
まだ興和不動産と合併する前の新日鉄都市開発時代に依頼していたネオパートナーさんは、今回同様の事例でつぶやき主が噛みついたら、“当社はローンを当社営業マンに依頼する方のみ事務手数料をいただいています。現金客から徴収するようなアコギなことはしません”とハッキリ断言されたのと比べると雲泥の差です。

リビオ一枝学園並木通りだけではありません。
なかやしきさんはどのマンションでも52,500円を徴収します。
笑わせてくれるのが、公社さんが絡んだマンション、ネクスタージュ高見七条やベイトリア門司マリーズでは、この契約事務手数料を徴収していないことです。
ネクスタージュやベイトリアでは、銀行ローン利用時にのみローン手続き料として52,500円を徴収することとなっています。現金客からは徴収しません。
流石に公社さんが絡んだ物件では、契約事務手数料は徴収できないのでしょう。
これをダブルスタンダードと言います。

東宝さんは、最近の物件では契約事務手数料を徴収しないように襟をただしました。
新日鉄興和不動産やなかやしきさんは北九州のマンション業界のオピニオンリーダーです。先頭を切って悪しき慣行を打破してもらいたいものです。